AI・IoTを活用して造成工事の施工管理をデジタル化

~土砂運搬の作業進捗を一括管理して業務効率を向上~

  • 土木

2023.07.24

清水建設(株)<社長 井上和幸>はこのほど、土木工事の次世代型生産システム「Shimz Smart-Site Civil」の要素技術として、AIやIoTを活用して造成工事の施工管理を効率化するシステム「Shimz-Smart-Site Analyzer」を開発しました。本システムは、現場内で稼働するダンプトラックでの土砂の運搬量をデジタル上でリアルタイムに一括管理することにより、広大な敷地内の複数箇所で同時に行われる造成工事の施工管理を効率化するシステムです。2023年4月から「福島大熊西地区基盤整備1期工事」に本格適用しています。

現在、建設業界では、作業員の大量離職などが懸念されていることから、担い手不足に対応すべく、生産性の向上が喫緊の課題となっています。この対応策の一つとして、デジタル技術を活用した業務効率の向上が求められるようになりました。今回新たに開発した「Shimz-Smart-Site Analyzer」は、デジタル処理により視覚化された造成工事の進捗を端末上で管理することで、生産性の向上を図るシステムです。本システムは、3DLiDAR、AI、GNSS(位置情報システム)から構成されており、データ処理用PCを含むこれらのデバイスをダンプトラック運転席の天板に設置して適用します。

本システムでは、3DLiDARでダンプトラックに積載した土砂の有無を点群データで取得し、この情報をもとにAIで土砂の荷降ろし状態を判定します。そしてGNSSによるダンプトラックの位置情報を含めたこれらの情報をアマゾン社のクラウドコンピューティングサービスであるAWSで統合・分析。ダンプトラックごとの運土量や場内のエリアごとの運土の進捗率をリアルタイムに算出し、データ処理用PCを介してタブレットやモニターで視覚化します。これにより、工事の進捗を遠隔地から一人ないしは少人数で一括管理できるようになるため、業務効率の向上や省人化を図ることが可能になります。

本システムは、2022年1月からの約半年間、愛知県内の「日東工業(株)瀬戸工場造成工事」(敷地面積25万m2)で稼働していたダンプトラックに試験適用し、土砂の運搬量や各集積場の土量、ダンプトラックの稼働状況などをリアルタイムかつ正確に把握できることを確認しています。本システムのイニシャルコストは、人件費やインフラ構築費を除いた金額として、ダンプトラック1台当たり50万円を見込んでいます。

施工管理のデジタル化推進は省人化や生産性の向上に加え、作業員の業務負荷の軽減による労働環境の改善にもつながります。今後は本システムをダンプトラックだけでなく、さまざまな用途の建設機械への適用も視野に入れながら、デジタル技術を用いた施工管理の汎用性を高めていくことで、デジタルゼネコンとして建設業のDX化につなげていく考えです。

以上

≪参 考≫

日東工業(株)瀬戸工場造成工事 概要

工事場所 愛知県瀬戸市八床町4-2他
発 注 者 日東工業株式会社(本社:愛知県長久手市)
工  期 2021年4月~2023年11月
用  途 工場用地
敷地面積 253,899m2
運搬土量 731,462m3

Shimz-Smart-Site Analyzerのイメージ

Shimz-Smart-Site Analyzerのイメージ

ダンプトラックに搭載したデバイス

ダンプトラックに搭載したデバイス

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