事業構造・技術・人財のイノベーション拠点が近く供用開始

~施設名称を「温故創新の森 Novare(ノヴァ―レ)」に決定~

  • 経営

2023.07.24

清水建設(株)<社長 井上和幸>はこのほど、江東区潮見で建設を進めているイノベーションと人財育成拠点の施設名称を「温故創新の森 Novare」に決定しました。拠点の核となる「Novare Hub(ノヴァ―レハブ)」、生産革新を目指す研究施設「Novare Lab(ノヴァ―レラボ)(技術研究所潮見ラボ)」、体験型研修施設「Novare Academy(ノヴァ―レアカデミー)(ものづくり至誠塾)」の供用を2023年9月より開始、創業220年を迎える2024年春には歴史資料展示施設「Novare Archives(ノヴァ―レアーカイブス)(清水建設歴史資料館)」と当社二代目の清水喜助が手掛けた「旧渋沢邸」を含め、全5施設が稼働する予定です。

施設コンセプトでもある「温故創新の森(Smart Innovation Ecosystem)」は、大自然の中で「森」が動植物や土壌、水、大気の循環を促す生態系(Ecosystem)を形成するように、全5施設がそれぞれ自立かつ連携し合い、ものづくりの原点に立ち返り進取の精神を育む場、国内外の知を結集し新たなイノベーションを創出する場となることを意図しています。また、イノベーションの語源でもあるラテン語の「創作する、新しくする」という意味を持つ動詞「novare(ノヴァーレ)」により、社会とともに自らも進化し続けるという強い意志を表現しています。

当社は2030年を見据えた長期ビジョン「SHIMZ VISION 2030」において、目指すべき企業像として時代を先取りする価値を創造する「スマートイノベーションカンパニー」を掲げています。「温故創新の森 Novare」は、その実現を目指し、事業構造、技術、人財の3つのイノベーションを強力に推進し、それぞれの融合と社会とのコミュニケーションを図る場となります。そうすることで、建設事業の枠を超えて、レジリエント、インクルーシブ、サステナブルな社会の実現、さらには50年先、100年先を見据えた当社と社会の発展に貢献できる人財の育成を目指します。

現在、JR京葉線潮見駅に近接する建設地では、各施設で仕上工事が最終段階を迎えています。供用開始後は、敷地の南端に整備した開発道路が潮見駅と運河を結び、周辺地域に回遊性をもたらします。この250m以上続く開発道路に面する施設のファサードは、社会との接点と捉えて計画しています。

駅に一番近いNovare Academyは建設業のショーウィンドウとしての機能も備えており、巨大なガラスファサード越しに工事現場を再現した実寸大の研修用モックアップ群が現場の雰囲気を伝えます。続く施設全体のエントランスとなるNovare Hubのオープンロビーは、温故創新の森の象徴となるべく、オープンイノベーションの場に相応しい居心地の良さと開放感を醸成します。その先の運河側には、高床建物をイメージさせるNovare Archivesのピロティが続きます。ピロティ越しに敷地中央に佇む旧渋沢邸を望むことができ、文化財の公共性とセキュリティを担保しています。旧渋沢邸の背後には、景色の中に溶け込むようにNovare Labが控えています。

用途の異なる5棟の施設群は、それぞれが個別最適を求めて構造、材料、外観を異にするものの、エネルギーや情報そして機能においては、それぞれが融合・補完し合い、デザイン的にも一つのキャノピーが全体をつなぐ形となっています。

以上

≪参 考≫

温故創新の森Novareの配置図

温故創新の森Novareの配置図

5棟の概要

Novare Hub ノヴァ―レハブ

Novare Hub ノヴァ―レハブ
RC造一部S造、地上3階、延床約6,100m2

「温故創新の森 Novare」の中心機能を果たす施設。全体をつなぐ幹となり、変化し続けるプログラムに柔軟に対応し、イノベーションを推進させる情報発信・交流の拠点。屋根の変形を支える木架構は伝統的な継手・仕口の原理を使用した3D仕口を用い、また床には再利用材の加工の容易さを利用したパーソナル空調を配備するなど、木質の新たな利用形態の可能性に挑戦している。

Novare Academy ものづくり至誠塾

Novare Academy ものづくり至誠塾
S造一部RC造、地上2階、延床約3,480m2

建設現場を再現したモックアップを内包。駅前に位置し、ファサードをガラスとすることで、あたかも建設現場の仮囲いを透明にしたような建物とし、建設業と社会のつながりを意識した。3Dプリンターによる柱と橋梁のような梁で幅75mの大きな窓を構成。技術の原点を考えさせ、リアルとデジタルの両面からのアプローチにより、ものづくりの人財を育成する。

Novare Lab 技術研究所潮見ラボ

Novare Lab 技術研究所潮見ラボ
RC造一部S造、地上4階、延床約9,750m2

建設ロボットや構造・材料などの生産革新を目指した研究施設。ハードユースとフレキシブル性を兼ね備えた仕組みを実現している。大型クレーンの稼働による建物への負荷と大架構を両立させるべく、PC列柱と鉄骨の梁を独自の技術で接合し、構造体を構成している。

Novare Archives 清水建設歴史資料館

Novare Archives 清水建設歴史資料館
RC造一部S造、地上3階、延床約2,520m2

日本の建設業の歴史とともに、当社所有の技術・学術資料や文化的価値の高い所蔵品を展示する施設。ファサードのアルミキャストの立体的な模様は当社2代目の清水喜助が手掛けた旧渋沢邸の手掘りの床柱をシミズ独自のAI技術によって3Dクローン複製し、シミズの原点の記憶として建造物に刻み込んだものである。旧渋沢邸に面する中庭側は一面のガラスのファサードとなっており、渋沢邸とそれを取り囲む緑地との一体感を演出している。

旧渋沢邸(旧渋沢家住宅)

旧渋沢邸(旧渋沢家住宅)

渋沢栄一の旧邸宅で、その表座敷は当社二代目の清水喜助が手掛け、かつ唯一現存する作品。当初、深川福住町(現在の江東区永代)に建設され、その後、三田綱町(現在の港区三田)、青森県六戸町と2度の移築を経て、2018年に当社が取得。3度目の移築を行った。この移築を機に、社会的課題である軒を持った伝統的建造物の防火システムとして、AI検知による省水源の無破損放水システム「慈雨」を開発・適用した。

直近の航空写真

直近の航空写真(photo:NARU建築写真事務所 中塚 雅晴)
photo:NARU建築写真事務所 中塚 雅晴

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