現場事務所も木造化

~環境に優しい木造仮設建築「SHIMZ CYCLE UNIT」を展開~

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2023.07.12

清水建設(株)<社長 井上和幸>はこのほど、工事現場の事務所や災害時の避難所、仮設住宅、イベント施設、小規模オフィスなどへの展開を想定し、環境に優しい木造仮設建築「SHIMZ CYCLE UNIT」を開発、東京木工場建替計画の工事現場にプロトタイプを設置しました。今後、東京木工場において商品化に向けた検討を進めます。

木材利用促進法やESG経営の浸透により、木造、あるいは木造と他構造のハイブリッド構造を採用する建築計画が増加しています。そうした中、当社は木材の一層の利用促進を図るべく、仮設建築の木造化の検討を進めてきました。その成果の先駆けがSHIMZ CYCLE UNITの開発です。基本コンセプトは、文字通り、資源循環によるサステナブル性の追求です。サステナブルな材料・構法の採用、移設による木材の循環・再利用はCO2削減に寄与し、木材で構成する快適な空間は利用者の健康(WELL)増進にも寄与します。

SHIMZ CYCLE UNITの特徴は、サステナブルな材料として木材を全面的に採用したことにより、一般的な鉄骨プレファブの約3.6倍のCO2の固定化効果を発揮することです。50m2の標準タイプで1.8tとなります。また、内外装の仕上を「()(あらわ)し」にしたことで、利用者は木材の香りや温もりなどを五感で感じることができ、ストレス緩和などの効果も享受できます。さらには、木材の優れた断熱性能や調湿性能は居室内の温熱環境を向上させます。このため、事務所や住宅などさまざまな用途への展開が期待されます。

構法についてもサステナブル性を追求。一般流通材とCLTパネルのみで構造的に必要な柱・壁・梁を構成し、接合部をすべてボルト締結(ドライジョイント)します。併せてさまざまなプランニングに対応できるように部材のユニット化を徹底し、部材の種類をわずか2種類に抑制。こうした仕組みにより、材料を無理なく調達でき、かつ組立・解体作業が簡素化・短工期化します。また、木材は軽量で、ユニット化された部材は車両に空隙なく効率的に搭載できるので、輸送負荷も軽減します。このため、同規模の一般的な鉄骨プレハブに比べ、組立・解体・移動・転用時のCO2排出量を約4割削減できる見込みです。標準タイプの削減効果は11.5tになると試算しています。

なお、東京木工場に設置したSHIMZ CYCLE UNITはプロトタイプながら、ZEB Readyの認証を取得済です。外壁の高断熱化、高効率空調機、全熱交換器などの環境配慮型設備を導入しており、既存の仮設プレハブハウスに比べ一次エネルギー使用量を1/2以下に削減しています。

当社は今後、SHIMZ CYCLE UNITの商品化を進め、木材利用促進、林業の活性化、ひいては里山の環境保全へ寄与する所存です。

以上

≪参 考≫

SHIMZ CYCLE UNIT

森林資源の活用により、建築材料の再利用やCO2の固定・排出量の削減、施設利用者の健康増進などの好循環を生むという意味を含ませた名称。

東京木工場に設置したプロトタイプ

プロトタイプの外観
プロトタイプの外観
プロトタイプの内観
プロトタイプの内観(什器備品の搬入前)
画像名
プロトタイプの内観

2種類の部材

2種類の部材

木材利用促進法

正式名称は「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」

参考:https://www.rinya.maff.go.jp/j/riyou/koukyou/

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