大量のエネルギー消費を伴う生産施設のCO2排出量を見える化

~新たな評価指標によりカーボンニュートラルの達成を支援~

  • 省エネ

2023.08.30

清水建設(株)<社長 井上和幸>はこのほど、2050年のカーボンニュートラルに備え、大量にエネルギー消費する生産施設の環境性能をCO2排出量の観点から数値評価する独自の環境指標「F-CaS(エフキャス:Factory Carbon Score)」を制定しました。F-CaSの特徴は、従来のZEB認証評価の対象外になっていた生産エリアまで踏み込み、空調、照明、生産ユーティリティ、生産装置など各生産設備のエネルギー消費量からCO2排出量を求め、施設全体の環境性能をF-CaS値としてスコア化することです。

ZEB認証による建物の環境性能の評価が一般化する中、CO2排出量が異なる化石電源(SCOPE1)と非化石電源(SCOPE2)を区別なく一次エネルギーとして評価していること、生産施設においては大量のエネルギー消費を伴う生産エリアを対象外にしていることが課題となっています。2030年度をターゲットにする「第6次エネルギー基本計画」は、一次エネルギーに占めるSCOPE2の比率倍増によりCO2排出量の大幅削減を目指しており、その趣旨に照らしても評価方法の見直しが求められています。

こうした課題を踏まえ、今後、当社は生産施設の計画に際し、生産設備に使用する熱源、例えば電気・ガス・油などの使用量まで積算しSCOPE比率を明確にしたうえで施設全体のCO2排出量を求め、F-CaS値により施設計画の環境性能を評価します。F-CaS値とは、計画中の施設のCO2排出量とベンチマークを比較した値(新たな施設計画のCO2排出量/ベンチマークのCO2排出量)です。ベンチマークは、既存施設のエネルギーの使用実績、あるいは生産施設の一般的な仕様に基づき設定します。F-CaS値のレンジは0~1で、例えば、お客様がCO2排出量50%削減を目標に掲げている場合、F-CaS値0.5が最低限の目標値になります。

F-CaS値の算出には、独自に開発したシミュレーションツールを用います。ツールには生産エリアの面積や生産スケジュール、空調能力、生産設備の熱源等の数値を入力すると、アウトプットとしてCO2排出量と化石電源の削減効果を生産設備別に表したビジュアルなグラフが自動生成される仕組みになっています。算出に要する期間は3日程度です。F-CaSの優れた点は、棟単位の施設計画の評価に留まらず、任意のベンチマークを設定することで複数の事業所の環境性能を相対比較できることです。そうすることで、多くの事業所を所有するお客様に対して、カーボンニュートラルに向けた施設の建替え・改修計画の優先順位を示すことができるので、中長期かつ総合的な計画立案が可能になります。

当社は今後、F-CaS値に基づき、お客様のニーズに適した最適な施設計画の提案を行い、CO2削減目標の達成やカーボンニュートラルに向けた中長期かつ総合的な支援を行っていく考えです。

以上

≪参 考≫

都内の事業所における計算事例

都内の事業所における計算事例

ニュースリリースに記載している情報は、発表日現在のものです。ご覧になった時点で内容が変更になっている可能性がございますので、あらかじめご了承ください。ご不明な場合は、お問い合わせください。