2023.03.29
東京理科大学
清水建設株式会社
東京理科大学<学長 石川正俊>と清水建設株式会社<社長 井上和幸>はこのほど、建築物の非構造部材の環境負荷性能に着目した研究開発プロジェクト「みどりの機能建材研究開発プラットフォーム」を東京理科大学研究推進機構総合研究院の「共創プロジェクト」として設置し、本格的な取り組みを開始しました。
本プロジェクトでは、環境配慮建築の社会実装に向け、これまで研究開発が進んでいなかった非構造部材のCO2排出量をライフステージも考慮して評価・可視化するシステムの構築に取り組むとともに、外装材、内装材、開口部材、下地材などを対象に製造・施工時のCO2排出削減に寄与する高機能材料・工法の研究開発を推進します。本プロジェクトの設置期限は2025年3月までを予定しています。
脱炭素化に向けた取り組みが社会全体に広がる中、建築物が環境に与える負荷を縮減していくためには、環境配慮建築を高度に具現化するための学術的基盤の確立と、それらの社会実装を促進させるための包括的なプラットフォームの構築が欠かせません。特に、建設段階でのCO2排出量“Embodied Carbon”の約20%を産出する非構造部材については、膨大な種類の材料や工法が存在し、環境配慮の観点からの検討や社会実装が個別にはなされているものの、建築物全体の環境負荷を俯瞰的に捉えた上で最適化を図る取り組みはこれまでありませんでした。
非構造部材の環境負荷低減に向けては、Embodied Carbonと運用段階でのCO2排出量“Operational Carbon”を総合した、建築物のライフサイクル全体のCO2排出量“Whole Life Carbon”を勘案した検討が必要となりますが、Whole Life Carbonの評価手法は確立されていないのが現状です。また、非構造材料は、構造材料と比べて、材料の加工処理の違いが環境負荷に与える影響や再生材料の活用による環境負荷低減効果など、Embodied Carbonを精緻に算出するために不可欠なデータベースの構築が十分に進んでいないことも課題となっています。
そこで、本プロジェクトでは、非構造部材のCO2排出量をライフステージごとに評価・可視化するシステムを構築するとともに、Whole Life Carbonへの影響度が高い外装材、内装材、開口部材、下地材について、環境性能と機能性が高度に両立する材料・工法の研究開発を推進します。また、内外装材の高機能・高性能化を指向した研究開発を、省資源化、資源循環の促進にもつなげ、ネイチャーポジティブ※1への貢献も果たしていきます。
本プロジェクトの実践にあたり、東京理科大学は、創域理工学部※2の建築学科を中心に、先端化学科、経営システム工学科※2、同大学院国際火災科学専攻などの教授陣が連携した横断的な研究体制を整えます。一方、清水建設は、各分野の研究者を東京理科大学に随時派遣するとともに、研究費1.5億円を拠出します。
両者は、この産学連携プロジェクトをオープンイノベーション型の包括プロジェクトとして推進することで、多岐にわたる境界領域の先導事例を創出し、建築業界における環境配慮の取り組みをリードしていく考えです。
- ネイチャーポジティブ
生物多様性を含めた自然資本を回復させること。 - 東京理科大学創域理工学部へ再編(名称変更)
東京理科大学は、理工学分野において新しい領域と価値を創造するという学部の特徴を明確にするため、2023年4月「理工学部」を「創域理工学部」に名称を変更する。また、同学部の一部学科についても、教育・研究内容と特徴をより明確に示す名称に変更する。
本プロジェクトに関するお問い合わせ先
- 東京理科大学
- 経営企画部広報課
TEL:03-5228-8107
e-mail:koho@admin.tus.ac.jp - 清水建設株式会社
- コーポレート・コミュニケーション部
TEL:03-3561-1186
e-mail:shimzkoho@shimz.co.jp
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