2023.03.17
清水建設(株)<社長 井上和幸>はこのほど、土木工事の躯体設計プロセスの合理化を目的に、パラメトリックモデリングを活用して配筋施工図の3次元モデルを自動生成するプログラムを開発しました。建設生産の各プロセスでBIM/CIMの活用が加速する中、本プログラムにより、多大な労力を要していた配筋施工図の3次元モデル作成業務の大幅な省力化が図れ、3次元モデルによる施工検討などBIM/CIMの活用の幅が広がります。
配筋施工図は、鉄筋コンクリート構造物を構成する鉄筋の詳細情報を含む施工用の図面で、鉄筋の形状や継手の仕様・位置、補強筋の配置場所などの情報が反映されています。配筋施工図の3次元モデルはこれまで、必要情報を手書きした躯体設計図(指示書)を基に作成し、オペレーターが手作業でモデリングを行っていました。このため、指示書の作成からモデリングまでの作業が煩雑となり、多大な労力を要するだけでなく、入力ミスなどの不具合が生じる要因となっていました。そこで当社は、配筋施工図の3次元モデル作成業務の効率化を目的に、パラメトリックモデリングによる3次元モデル自動生成プログラムを開発しました。
開発したプログラムは、BIM/CIM関連のシステム開発を手掛けている(株)GELの協力を得て構築したもので、躯体のBIM/CIMモデルに鉄筋径やピッチ、形状等の必要情報を整理したパラメータデータを取り込むことで、配筋施工図の3次元モデルを生成します。具体的には、配筋情報を入力したパラメータデータをパラメトリックモデリングソフトウェア「Rhinoceros Grasshopper」に読み込み、プログラムを実行するだけで、BIMソフトウェア「Revit」上に施工図情報を反映した3次元モデルが構築されます。また、パラメータデータの入力値を修正することで、3次元モデルの形状を容易に変更できるため、モデルを適宜修正しながら施工検討を進められるようになります。
現在、当社JVがインドネシアで施工を進めている「ジャカルタMRT南北線2期工事CP202工区」の地下鉄駅舎躯体の設計プロセスに本プログラムを適用し、地中連続壁を対象に配筋施工図の3次元モデル化に着手しています。今後、順次、対象部材の拡大を図るとともに、パラメータデータの作成を簡素化するツールの開発にも取り組み、ユーザビリティの向上と利用現場の拡大を目指します。
以上
≪参 考≫
開発した配筋施工図の3次元モデル自動生成プログラムの概念図
「株式会社GEL」概要
所在地 | 東京都江東区東陽三丁目17番14号サンイーストビル7階 |
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社長 | 藤岡 優子 |
資本金 | 500万円 |
設立 | 2021年3月 |
事業概要 | 建設業、製造業に関する設計生産業務用自動化ツール 、アプリケーションソフト、アドイン・プラグイン等の企画、設計及び開発。 |
「ジャカルタMRT南北線2期工事CP202工区」工事概要
建設地 | インドネシア共和国ジャカルタ特別州 |
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発注者 | PT.MRTジャカルタ社 |
施工者 | 清水建設(株)、アディカリヤ社JV |
工期 | 2022年7月~2029年12月 |
規模 | [地下鉄駅舎] ハルモニ駅 延長252m、地下2階 サワブサール駅 延長200m、地下4階 マンガブサール駅 延長220m、地下4階 [シールドトンネル] 1,190m×2本(上下線)、仕上内径6.05m |
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