石狩湾新港洋上風力発電施設が起工

~世界最大級の新造SEP船で施工~

  • エンジニアリング

2022.09.09

清水建設(株)<社長 井上和幸>はこのほど、日鉄エンジニアリング(株)と組成した共同企業体により、北海道の石狩市と小樽市にまたがる海域において、完成時には国内最大規模となる洋上風力発電施設「石狩湾新港洋上風力発電施設」の洋上建設工事に着手しました。このプロジェクトの受注は、当社が建造中の世界最大級のSEP船の性能が発注者から評価された結果であり、2023年6月にもSEP船による施工が始まります。

石狩湾新港洋上風力発電施設は、新港から約1,600m沖合、約500haの海域に計画されています。発電容量は112MW(接続容量約99MW)で、8MWの風車14基と66kVの海底ケーブル約15.5kmから構成されます。発注者は(株)グリーンパワーインベストメントが設立したSPCの合同会社グリーンパワー石狩、洋上工事の施工者は当社が日鉄エンジニアリング㈱と組成した共同企業体、商用運転開始は2023年12月の予定です。

8MW風車は、完成時点では国内最大の洋上風車となり、ブレードの最高到達点は約190mに達します。風車の部材は、高さ約90mのタワー(支柱)、タワー頂部に設置するナセル(発電設備)、ナセルに連結する長さ約80mのブレード(羽)3体から構成されます。いずれも巨大な部材ですが、当社SEP船はフルサイズで一括搭載して航行できるので、効率的な組み立てが可能です。他のSEP船の場合、メインクレーンの能力と部材搭載能力を勘案すると、タワーを2分割して搭載し海上で組み立てること、基地港と施工海域の航行回数が多くなることから施工に4カ月程度を要すると推測されますが、当社SEP船なら2ヵ月で施工できます。

SEP船の拘束期間の短縮は工期・工費の削減、ひいては発電事業の採算に直結します。また、今後、風車の大型化や発電所の大規模化が進むと、工事に採用するSEP船の性能により工期・工費が大きく左右されます。このため、当社SEP船には国内外の発電事業者から大きな期待が寄せられています。現在、当社SEP船は、ジャパンマリンユナイテッド(株)の相生事業所(兵庫県相生市)において、最終の建造工程となる艤装作業が進み、当初の予定通り10月に完成予定です。その後、広島県の江田島(江田島市)に場所を変え、当社技術者と船員によるSEP船の習熟訓練を実施。3月には、(株)ウェンティ・ジャパンが洋上風力発電施設を計画している富山県下新川郡入善町沖で、3MW風車3基の基礎および風車の据付施工を手掛け、石狩湾に向かい現地で艤装を整えます。

日本政府による2050年カーボンゼロ宣言やロシアのウクライナ侵攻により我が国に迫るエネルギー危機を踏まえると、再生可能エネルギーに対するニーズは高まる一方です。なかでも洋上風力発電施設は最も有力な再生可能エネルギーであり、国内外で多くの建設計画が具体化しています。当社は建造中のSEP船による建設計画を提案することで受注拡大を図り、洋上風力発電施設施工のトップランナーを目指します。

以上

≪参 考≫

プロジェクト概要

事業会社名 合同会社グリーンパワー石狩
会社所在地 東京都港区赤坂一丁目11番44号赤坂インターシティ
発電設備設置地 北海道 石狩湾新港
設備容量 8,000kW×14 基 112,000kW(接続容量99,000kW)
世帯数換算 約83,000世帯
CO2削減量 約202,000t-CO2/年
売電先 北海道電力ネットワーク株式会社
運転開始予定 2023年12月
売電期間 20年間

(株)グリーンパワーインベストメント

所在地 港区赤坂1-11-44 赤坂インターシティ 9階
TEL 03-4510-2100
社長 坂木 満
資本金 107億8,600万円
創業 2004年9月1日
事業内容 再生可能エネルギーによる発電を含む発電事業全般

石狩湾新港洋上風力発電施設の完成予想CG

石狩湾新港洋上風力発電施設の完成予想CG
(写真提供:(株)グリーンパワーインベストメント)

建造中のSEP船(2022年8月現在)

建造中のSEP船(2022年8月現在)

新造SEP船の仕様と特徴

新造SEP船の仕様と特徴

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