低コスト・グリーン水素製造実証プラントが完成

~8月から実証運転を開始~

  • 環境

2022.07.28

清水建設(株)<社長 井上和幸>が大分県玖珠郡九重町において昨年11月に建設に着手した、低コスト・グリーン水素製造技術を適用した実証プラントがこのほど完成、8月から実証運転を開始します。実証運転に先立ち、築島明 環境省九州地方環境事務所長、吉田一生 大分県副知事、日野康志 九重町長をはじめとする関係者約30名を招き、本日11時から現地で実証開始式を執り行います。

この実証プラントは、環境省「地域共創・セクター横断型カーボンニュートラル技術開発・実証事業」の対象になっており、当社が環境省から事業の委託を受けて建設したものです。また、低コスト・グリーン水素製造技術は当社、(有)市川事務所(新宿区)、エネサイクル(株)(宮城県大崎市)、大日機械工業(株)(横浜市)、(株)ハイドロネクスト(大分市)の5社が共同開発したものです。この技術により、国内に豊富に存在する地熱と木材などのバイオマス資源を活用し、製造時のCO2排出量を市販水素の1/10以下、かつ製造コストを太陽光などの再生可能エネルギーを活用した水電解水素の1/3以下にすることを目標に実証試験を行います。

プラントの実証運転は、8月から12月にかけて、約25日間の連続運転を3回行います。連続運転では、バイオマス資源としてスギのチップ材と地熱水の蒸気を利用して水素を発生させ、水素製造能力・50Nm3/h、純度99.999%以上であることを確認します。また、品質面、安全面からプラントが安定的に稼働できることを検証するとともに、生産効率から推定される水素の製造コストおよびCO2排出削減率等を算定してレポートにまとめ、来年の3月中に環境省に提出します。

当社は、実証事業を通じて得られるノウハウを活用し、中小地熱発電所に併設する水素製造実用プラントの自社開発に取り組む予定です。実用プラントの水素製造能力は250~1,000Nm3/hを想定しています。

以上

≪参 考≫

水素製造プラントの完成写真

水素製造プラントの完成写真

共同開発先の会社概要

共同開発先の会社概要

水素製造システム概要図

水素製造システム概要図

この技術を適用したプラントは、木質チップの炭化炉、炭化物をガス化する改質反応器、水素精製装置から構成されます。水素の製造プロセスは、初めに炭化炉に投入した木材チップを蒸し焼き状態にして炭化物(C)を生成させます。次に炭化物を改質ガス化炉に投入して水蒸気を加え、炉の中を800℃超の高温にすることで炭化物と水蒸気を化学反応させ、改質ガスと呼ぶH2、CO、CO2、水蒸気を含む混合ガスを生成させます。この改質ガスを再び高温で化学反応させてH2の含有量を高めた後、PSAガス精製装置と金属膜水素分離装置で燃料電池用グリーン水素(純度99.999%以上)を抽出・製造します。

このプラントでは、水素製造の過程で生成する1,070℃の高温ガスを熱源とし電力使用量を抑制していること、余剰となる高温排熱(ガス)を地熱発電用水蒸気の追い炊き熱源として売熱できることから、水素製造コストを大幅に低減できます。高温ガスは、炭化炉で副生する燃料ガスやタールを空気燃焼させることで生成されるものです。

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