2022.05.23
清水建設(株)<社長 井上和幸>はこのほど、建設3Dプリンティング用に独自開発した繊維補強セメント複合材料「ラクツム」を、粗骨材を混練したコンクリート材に改良し、大臣認定を取得しました。これにより、従来は建物の柱・梁の型枠や、非構造部材の製作に活用されていた3Dプリンティングを、構造部材そのものの製作に適用できるようになり、建築分野における3Dプリンティング施工の適用範囲が大きく広がります。当社は、大臣認定を取得したこの“構造用ラクツム”を東京都江東区内に建設中の自社施設「(仮称)潮見イノベーションセンター」の構造部材の一部に適用する予定です。なお、本大臣認定は東京コンクリート(株)と共同で取得したものです。
3Dプリンティング技術の活用が多分野で進むなか、建設分野ではコンクリート施工への適用に向けた技術開発が進められています。コンクリートの造形に型枠を使用しない3Dプリンティングは施工の省力化・省人化に寄与することから、建設産業の慢性的な労働力不足に対する有効な解決策の一つとして期待されています。
当社が開発したラクツムは、モルタルに合成繊維、混和材を付加した繊維補強セメント複合材料で、形状を保持したまま2m以上の高さまで積層することができます。ラクツムの積層体は耐久性にも優れており、積層界面が目視で確認できないほど一体化し、劣化の原因となる水や空気の浸入を助長する気泡や空隙は内部にほとんど生じません。一方、モルタル材であるラクツムの積層体はこれまで、建築法規の制約により非構造部材にしか適用できず、例えば、埋設型枠としての活用を想定した場合、型枠の厚さの分、構造体の断面積が大きくなってしまうというデメリットがありました。大臣認定の取得により構造部材への適用が可能になることで、こうした課題を解決できます。
大臣認定の取得にあたっては、3Dプリンティングに最適化したラクツムの材料特性は保持しつつ、高強度コンクリートと同等の性能を発現する調合を確立しました。また、材料押し出し方式の3Dプリンティングシステムについても、粗骨材を含んだ材料をスムーズに押し出せるようポンプとノズルに改良を施しています。
今後、構造用ラクツムを用いて構造部材をプリントするための施工法を確立するとともに、施工現場で実大構造物を直接プリントするオンサイト3Dプリンティングの技術開発を進めていく考えです。
以上
≪参 考≫
東京コンクリート(株) 会社概要
商 号 | 東京コンクリート株式会社 |
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所 在 地 | 東京都江東区新砂1-3-12 |
代 表 者 | 代表取締役社長 鈴木 孝行 |
創 立 | 1952(昭和27)年7月 |
資 本 金 | 1億5千万円 |
事業内容 | 生コンクリート製造販売 |
“構造用ラクツム”のプリンティング状況
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