半世紀ぶりに東京木工場を全面建替え

~木の文化・技術・魅力の発信拠点が2025年秋に完成~

  • 建築

2022.05.19

清水建設(株)<社長 井上和幸>は、創業時より連綿と受け継いできた木の文化、技術、魅力の発信拠点の整備に向け、東京木工場(江東区木場2丁目)の既存施設群全11棟を順に解体し、工場棟と来客棟の2棟に集約する全面建替えプロジェクトに着手しました。

東京木工場は、1884(明治17)年に清水組の木材加工場として開設され、関東大震災に際しては木材の集積所として帝都復興に貢献。1945(昭和20)年に戦火で焼失するも、直ちに復旧され戦後復興とともに工場設備を拡充してきました。名称は深川工作所、東京木工場と改称されますが、開設以来、職人によって磨かれ、活かされてきた精巧な木工技術を伝承し続けています。

一方、東京木工場の既存施設群はいずれも築50年以上が経過し、これまで耐震改修や部分改修を行いながら老朽化に対応してきました。しかし、2010年施行の木材利用促進法の効果により木造需要が増大する中、工場としての機能向上と作業・執務スペースの集約による業務効率化に向け、昨年4月に東京木工場の建替えを機関決定しました。

新築する施設のコンセプトは、木工事の技術と木の文化の伝承という東京木工場の重要な役割を踏まえ、「木の文化・技術・魅力の発信拠点」としています。3階建て、延床3,555m2の工場棟は、1階を多軸ロボットやNC加工機などの最新工作機械により新たな木造(木質)建築に対応する技術開発ゾーン、2階と3階を伝統の木工技術による加工を行い、文化・技術の継承を図る伝統技術ゾーンとします。いずれのゾーンにも見学エリアを設け、来場者が木の伝統技術と最新技術を間近で見学できるようにします。

来客棟は2階建て、延床1,291m2で、1階中央部を資料館とし、東京木工場が過去に製作した有名建築の内装の現寸展示や伝統工具、図面類を展示。1階北側に常設の木育室を設け、見学希望者や地域住民などを対象に木工教室を開催します。2階には事務室と会議室を配置します。

木工場に相応しく、工場棟・来客棟ともに木鋼ハイブリッド構造を採用するとともに、敷地内に木育の一環として設ける緑豊かな「森」が来場者を迎え入れます。

なお、既存敷地内での建て替えとなるため、既存施設群を順に解体しながら来客棟、工場棟、外構の順に着工します。解体工事を含むそれぞれの工期は順に22年3月~23年7月、23年8月~24年12月、24年12月~25年9月、施設全体のグランドオープンは2025年10月を予定しています。

東京木工場は、全面建替えを経て、増大が見込まれる木造需要に対応するバリューチェーンの核となるとともに、従来の倍の3,000人/年程度の見学者を受け入れ、文字通り、木の文化・技術・魅力の発信拠点に生まれ変わります。

以上

≪参 考≫

新・東京木工場の概要

  • 所在地:江東区木場2丁目15-3
  • 地 積:6,609.78m2
                           
階数 建築面積 延床面積構造工期(解体工事含む)
工場棟 3 1,560m2 3,555m2木鋼ハイブリッド構造23年8月~24年12月
来客棟 2 861m2 1,291m2同上22年3月~23年7月
守衛所 1 175m2 13m2RC造24年12月~25年9月

完成予想パース

パース左(3階建)が工場棟、右が来客棟
パース左(3階建)が工場棟、右が来客棟
工場棟3階の伝統技術ゾーン
工場棟3階の伝統技術ゾーン
工場棟1階の技術開発ゾーン
工場棟1階の技術開発ゾーン
来客棟2階の執務空間
来客棟2階の執務空間

既存施設群の概要

                                   
施設名称 築年 階数 延床面積構造
第1工場 1955(昭和30)年 1 581.34m2S造
第2工場 1969(昭和47)年 2 762.34m2S造
第3工場 1966(昭和41)年 2 778.58m2S造
第4工場 1961(昭和36)年 2 1,030.04m2S造
第1倉庫 1964(昭和39)年 1 467.46m2S造
第2倉庫 1964(昭和39)年 1 189.00m2S造
事務所棟 1979(昭和45)年 3 930.44m2RC造
休憩所棟 1962(昭和37)年 2 399.08m2木造
油庫 1967(昭和42)年 1 10.10m2CB造
塗装工場 1963(昭和38)年 1 399.12m2S造
ゴミ置き場 不詳 1 7.95m2CB造

CB造:コンクリートブロック造

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