安全体感車「甕割号」の運用を開始

~労働災害ゼロに向け、安全体感教育を機動的に提供~

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  • 建築

2022.04.01

清水建設(株)<社長 井上和幸>は、建設技能労働者に対する安全教育の強化・高度化を目的に、体感型の安全教育ツールを搭載した安全体感車「甕割号(かめわりごう)」を開発・製造し、4月1日から“移動型安全道場”として運用を開始します。

設備面や環境面での安全対策の高度化により、建設現場における労働災害の発生件数は一昔前と比べて大幅に減少しています。その反面、労働災害の当事者となり得る技能労働者が、「何が危険か」「どうなると危険な状態になるのか」を実体験から感じ取る機会が減少し、現場での作業経験を重ねるだけでは、事故の危険を感知する能力を養うことが難しくなっています。そこで当社は、技能労働者の危険感受性の向上に資する体感型の安全教育を、個々の現場のニーズに応じて提供する移動型安全道場として安全体感車「甕割号」を開発・製造しました。「甕割号」の開発にあたっては、(株)明電舎の協力を得ました。

安全体感車「甕割号」は、荷室の側面が上下に開閉するウィングボディーの11tトラックをベースに製造したもので、事故の危険性をリアルに体験できる体感装置や、労働災害の発生状況を仮想空間で疑似体験できるVR装置を荷室内に配置しています。甕割号に搭載したリアル体感装置は、労働災害の大半を占める転落、挟まれ、感電など11種類。VR装置には、墜落、交通事故、土砂災害などを疑似体験できる約20種類のコンテンツが内蔵されています。利用時には、荷室の側面を上下に開閉することで約7m四方の受講スペースを確保し、各コンテンツを組み合わせた体感教育プログラムを提供します。

受講者は、主に当社作業所で働く技能労働者を想定しており、年間の受講者数は延べ3,300名を予定しています。まずは、当社の協力会社組織「兼喜会(かねきかい)」と共同運営している技能労働者向けの教育・訓練施設「清水匠技塾」(千葉県船橋市)の研修プログラムの一つとして、甕割号を活用した安全体感教育を提供し、2022年度下期から関東圏の当社作業所での出張講座を順次実施する予定です。

以上

≪参 考≫

安全体感車「甕割号(かめわりごう)」

甕割号
甕割号
甕割号
甕割号

コンテンツリスト

リアル体感装置

①ワイヤー挟まれ体感装置、②断熱材燃焼体感装置、③感電体感装置、④過電流体感装置、⑤トラッキング体感装置、⑥落下衝撃体感装置、⑦VR脚立転落体感装置、⑧酸欠状態体感装置、⑨運搬台車衝突体感装置、⑩フルハーネスぶら下がり体感装置、⑪はしご適正使用指導装置

VR体感装置

①移動ハシゴからの墜落、②溶接作業での火災、③電動工具での感電、④高所からの工具落下、⑤フォークリフトの転覆、⑥積載作業での挟まれ、⑦タンク内での窒息、⑧道路舗装作業での車両との衝突、⑨階段での転倒、⑩防災消火器、⑪粉塵爆発、⑫管路での土砂崩れ、⑬クレーン吊り荷の落下、⑭昇降台からの転落、⑮分電盤作業の感電、⑯躓き転倒、⑰フォークリフト荷崩れ、⑱グラインダー火傷、⑲法肩の崩落、⑳交通事故

「甕割号(かめわりごう)」由来

司馬温公の瓶割り(しばおんこうのかめわり)の逸話に由来し、どんなに貴重なものでも人の命には代えられないという教えから、甕割号の運用を通じて労働災害ゼロを目指していきます。

司馬温公の瓶割り…中国北宋時代の政治家である司馬光が幼少期に、大きな水瓶に落ちた友人を救うため、迷うことなく貴重な水瓶を割って助け出しました。貴重な水瓶を割ったので叱られることを覚悟していましたが、父親は、改めて命の尊さを教えたと言います。

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