江東区潮見で再築中の旧渋沢邸が上棟

~古式ゆかしく工匠式を挙行~

  • 建築

2021.12.06

清水建設(株)<社長 井上和幸>が江東区潮見二丁目に建設中の潮見イノベーションセンター(仮称)の敷地内において、本日、再築中の旧渋沢邸のうち、当社二代目の清水喜助が手掛けた母屋主要部(表座敷)が上棟、宮大工の伝統の儀式である工匠式を執り行い上棟を祝いました。

旧渋沢邸は、明治から大正にかけ当社の相談役を務めた渋沢栄一翁の邸宅です。当社二代目の清水喜助が手掛け、1878 (明治11)年に完成した木造和風建築を中心とし、その後、洋館等の増築を経て現在の姿(建築面積921m2、延床面積1,204m2)に至っています。

当初、深川福住町(現在の江東区永代)に建設され、その後、2度の移築を経て、1991年から青森県上北郡六戸町で保存されていたものを当社が2018年に取得。2019年2月に3度目の移築に向けた解体・収去工事に着手し、専門家による調査を行いながら、同年11月に解体を終了しました。収去した2万数千点にも及ぶ木材等の部材については、当社東京木工場(江東区木場)等で保管し、修繕を進めてきました。2020年1月に江東区から「旧渋沢家住宅(部材)」として文化財指定を受け、2020年11月に再築工事に着手しました。

本日、上棟した表座敷は渋沢翁が居間として使用した2階建ての木造和風建築です。完成から140年以上が経過していますが、建築的特徴や細部に用いられた意匠及び工法がよく残っており、再築完了後には往時の姿で忠実に再現される予定です。

今後は、母屋の裏手に位置する平屋の和風建築と土蔵並びに左手に位置する洋館の再築を本格化させ、それぞれ来年3月と7月の上棟を目指します。2023年の春先には、本格的な和風建築と洋風建築とを巧みに調和させた近代住宅史における貴重な建築が蘇ります。

建設中の潮見イノベーションセンター(仮称)は、長期ビジョン「SHIMZ VISION 2030」で示した事業構造、技術、人財のイノベーションを強力に推進することを目的に計画し、本館、研究施設、研修施設、歴史資料展示施設、旧渋沢邸の5棟、総延床面積約25,000m2の施設で構成される施設です。2023年春の竣工を目指して、鋭意工事を進めています。

以上

≪参 考≫

旧渋沢邸の概要

構造・規模 木造、2階建、建築面積921m2、延床面積1,204m2
再築期間 2020年11月~2023年2月(2年4ヶ月間)
移 築 先 江東区潮見2丁目8番地内
建物の変遷
  • 1878(明治11)年

    深川福住町(現江東区永代)に木造2階建新築

  • 1908(明治41)年

    深川から三田綱町(現港区三田)へ移築

  • 1929(昭和4)年

    洋館部分等増改築

  • 1946(昭和21)年

    渋沢家から国に物納

    大蔵大臣公邸、三田共用会議所として使用

  • 1991(平成3)年

    三田から青森県上北郡六戸町へ移築

  • 2019(平成31)年

    当社が取得

  • 同 (令和元)年

    六戸町からの部材収去が完了

  • 2020(令和2)年

    再築工事着工

六戸町で保存されていた当時の旧渋沢邸

六戸町で保存されていた当時の旧渋沢邸

旧渋沢邸の再築状況と工匠式の様子

上棟した旧渋沢邸表座敷
上棟した旧渋沢邸表座敷
博士杭打ちの儀
博士杭打ちの儀
曳綱の儀
曳綱の儀
槌打ちの儀
槌打ちの儀

用語説明

  • 博士杭打ちの儀:建物を建てていく上で基準となる杭を打ち込む儀式
  • 曳綱の儀:棟木を屋根上に曳き上げる儀式(棟木は屋根の一番高いところに位置する材料)
  • 槌打ちの儀:引き上げた棟木を一番高い位置にある棟に槌で打ち収める儀式

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