OAフロア施工もロボットで

~双腕ロボットが±1㎜の高精度で床パネルと支持脚を施工~

  • 建築

2021.09.21

清水建設(株)<社長 井上和幸>が新大阪駅前で施工中の新大阪第5ドイビル建設工事(発注者:ドイ不動産(株))において、自社開発の双腕多機能ロボット「Robo-Buddy」がこのほど始動、職人とのコラボによりOAフロア(2重床)の施工を進めています。始動早々、施工精度・効率とも職人の技の域に達しています。大手建設各社はロボット開発に注力していますが、OAフロア施工ロボットの開発は今回が初めてです。

建設業では、技能工(職人)の高齢化が進み、深刻な人手不足時代の到来が懸念されています。このため、大手建設会社は協力会社を支援し新規入職者の確保に努めるとともに、生産性向上に向けロボットやICT技術の開発に注力しています。当社の開発方針は、「ロボットと職人のコラボ」であり、ロボットが苦渋作業や繰り返し作業を代替し、職人がロボットの対応できない部分を補います。

Robo-Buddyは4輪駆動の作業台車と台車から伸び出た2本のロボットアームから構成される双腕多機能ロボットです。OAフロアの施工では、片方のアームがOAフロアの床パネルを支える支持脚の据え付け、もう一方が床パネルの敷設を担い、材料供給ロボットとセットで稼働し自律的に作業と移動を繰り返します。職人の手作業によるOAフロアの施工は、中腰で行う繰り返し作業であり、1枚10数㎏のパネルの敷設は苦渋を伴うことから、Robo-Buddyの新たな機能としてOAフロアの施工機能を開発したものです。なお、これに併せて建材メーカーのニチアス(株)と共同で、施工法を簡素化したOAフロアを開発、今後、広く建築工事に適用していく考えです。

Robo-Buddyの適用に必要な準備は、支持脚の高さ調整に必要なレーザ発振器のセット、コンクリート床上の支持脚の位置を示す墨出し(マーキング)、ロボットへの作動指示です。作動指示は、タブレットからクラウドを介してBIM(設計)データの床平面図を参照し、施工するエリアを選択してスタートボタンを押すだけです。2台のロボットはクラウドを介して作動指示を受信すると、SLAM(自己位置推定技術)により施工場所へ自動的に移動。支持脚据え付けアーム先端のカメラで支持脚の位置を示す墨を認識すると、アームが材料供給ロボットから支持脚を取り出し、接着剤を付けてコンクリート床上に据え付けてはレーザのレベルに合わせて高さを調整します。床パネル敷設アームは同様にカメラで敷設位置を認識し、材料供給ロボットから床パネルを受け取り、支持脚上に敷設していきます。

新大阪第5ドイビルでは、約700m2の基準階のOAフロアについて、Robo-Buddyが中央部350m2、職人が手間のかかる外周部350m2をそれぞれ施工し、効率よくコラボを展開しています。なお、後工程の関係でRobo-Buddyの稼働は9月単月、2フロアの施工に限定されますが、職人と同程度の施工スピードと床パネルのレベル差±1mmという高い施工精度を確保し、省人化率は約70%に達する見込みです。なお、省人化率は床面積に比例して高くなります。

当社は引き続き、建築工事のデジタル化コンセプト「Shimz Smart Site」に基づきロボット施工を推進し、ロボットと職人がコラボできる工種を増やすことで生産性の向上に努めていく考えです。

以上

≪参 考≫

新大阪第5ドイビルの工事概要

所 在 地 大阪市淀川区宮原1-2-2
発 注 者 ドイ不動産(株)
規  模 建築面積1,107m2、延床面積13,402m2、地上13階、塔屋1階
構  造 鉄骨造
工  期 2020年10月15日~2022年2月28日
設計施工 清水建設(株)

稼働中のRobo-Buddy

稼働中のRobo-Buddy

Shimz Smart Siteの概念図

Shimz Smart Siteの概念図

「Shimz Smart Site」では「Robot Work(ロボットが作業する)」「Management(デジタルで管理する)」「Fabrication(データでものをつくる)」をものづくりのデジタル化の核と位置付けています。

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