当社の設計施工で世界選手権仕様の自転車競技場が竣工

~千葉公園に約1万m2の大屋根ドーム~

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2021.09.08

清水建設(株)<社長 井上和幸>の設計施工により竣工した、約1万m2、重量約1千tの大屋根(長辺116m×短辺93m)を備えた千葉JPFドーム(千葉市中央区、発注者・(株)JPF)が10月2日に供用開始されます。新たな構造形式「リングシェル®(単層張弦ドーム構造)」で設計した個性的なデザインの大屋根は、無柱の大空間としては千葉県内では最大です。

千葉JPFドームは、「千葉公園活性化の先駆け」となる施設として、千葉競輪場の跡地に計画された大規模なベロドローム(自転車競技施設)です。約2,500席の観客席を備え、周長250mの木製トラックは世界選手権仕様になっています。これまで、日本国内で世界選手権に対応できる施設は伊豆ベロドローム(当社設計施工)だけであり、本施設の完成により、日本人選手の一層のレベルアップが期待されます。

設計上の特徴は、個性的なデザインのドーム大屋根をシンプルな鉄骨構造で表現していることです。大屋根は直径198mの球の表面を楕円に切り取った形状をしており、薄く軽やかなつくりで観客席と木製トラックを包み込み、一体感のある内部空間を演出しています。また、ドーム状の大屋根は、膨らみ(高さ)抑えることで、公園に融け込み、周辺施設と調和しています。

この大屋根を実現するために、当社は新たな構造形式「リングシェル」を考案しました。リングシェルの特徴は、単層の鉄骨トラスで楕円形かつドーム状の大屋根の骨組を構成していることです。そのキーとなるのが鉄骨トラスの剛性と耐力を高めるために大屋根外周部に配置したケーブル(弦)です。72本のケーブルが鉄骨トラスの外周部と大屋根中央下部に設けた直径84mの鋼製リングを放射状に連結しており、緊張されたケーブルにより鉄骨トラスが外側に広がる力を低減し、大屋根の骨組トラスを構造的に完結・独立させています。施工上の最大の課題は鉄骨精度の確保でしたが、徹底した計測管理により、スパン119mに対して最大でもわずか56mmの撓みで収まりました。

当社は引き続き、施工性、経済性が一層優れた無柱大空間を実現するための技術開発に取り組み、シンボリックなドーム施設の受注を目指します。

以上

≪参 考≫

工事概要

工事名称 (仮称)千葉公園ドーム整備事業
所 在 地 千葉市中央区弁天4-1-1
発 注 者 株式会社JPF
P   M 株式会社サトウファシリティーズコンサルタンツ
規模構造 地下1階、地上4階、建築面積約9,600m2、延面積約14,300m2、高さ27.2m、鉄骨造(一部鉄筋コンクリート造)
工  期 2019年11月~2021年3月
設計施工 清水建設株式会社

株式会社JPF

所 在 地 千代田区富士見2-4-11
社 長 渡辺俊太郎氏
設 立 1957(昭和32)年9月
資 本 金 3千万円
事業概要 公営競技の運営、開催業務の受託及び事業再生コンサルティング、公営競技及びアマチュア競技の着順判定写真撮影業務など

千葉JPFドームの外観、内観

外観
内観
内観

リングシェル構造の概念図

リングシェル構造の概念図

グレーの部材が単層の鉄骨トラス、ブルーの部材が鋼製リング、朱色がケーブル。72本のケーブルが鉄骨トラスの外周部と大屋根中央の鋼製リングを放射状に連結。ケーブルを緊張することで鉄骨トラスが外側に広がる力を低減し、大屋根の骨組トラスが構造的に完結・独立する。

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