切羽前方の湧水リスクを事前予報する「地山予報システム」を開発

~デジタルツイン・AIを活用し、将来の切羽湧水量を高精度予測~

  • 土木

2021.09.08

清水建設(株)<社長 井上和幸>はこのほど、山岳トンネル工事の生産性向上を目的に、デジタルツイン・AI技術を活用して、工事の進捗に応じて変化する切羽湧水量を定量的かつ高精度に予測する「地山予報システム」を開発しました。

このシステムは、現場で日々取得される施工データを蓄積・反映した仮想空間上で切羽の地下水環境の経時変化を日常的にシミュレーションし、湧水に起因するリスク情報を工事関係者にタイムリーに報知するものです。本システムにより、現場測定データの取得から最終的な作業員へのリスク情報の周知まで一連の流れを自動化でき、現場管理者の労働負荷を大幅に低減できます。また、将来予測を常に実施しながら施工することで想定外のリスクを大幅に減らすことができます。

湧水が見込まれる山岳トンネル工事では、切羽前方で生じる湧水量を事前に予測し、その結果を踏まえて安全な施工計画を立案します。湧水量の事前予測では、湧水量の実測値や地山性状の調査データを基に切羽湧水量の経時変化をシミュレーションする手法が主に採用されていますが、この作業には、専門技術者が2名体制で従事した場合でも4週間程度の時間を要します。そこで当社は、デジタルツインとAIを活用した予測シミュレーションにより、切羽湧水量の経時変化をリアルタイムに予測する地山予報システムを開発しました。

本システムの予測シミュレーションの核となるのは、AIによる地山特性の同定技術です。このAIは、システムが常時取得する日々の切羽湧水量に応じて、都度更新される仮想空間上の地山モデルに符合する透水係数を同定します。AIが同定した透水係数を基に地山内の地下水の流れをシミュレーションすることで、切羽湧水量の経時変化をリアルタイムかつ高精度に予測することが可能になります。予測結果に基づく湧水予報は、数日程度の短期予報から週間予報、トンネル工事期間中の全工期予報まで様々なスパンに対応できるため、精度の高い工程計画の作成、施工遅延リスクの回避にも寄与します。

本システムによる予測シミュレーションの精度を検証するため、当社JV施工の九州新幹線木場トンネル工事(長崎県大村市)で実測した経時的な切羽湧水データを活用して実証試験を行った結果、実測値に近似したシミュレーション結果が得られ、システムの有効性を確認できました。

当社は今後、地山予報システムを、地下水環境のみならず、施工時地山調査結果から切羽前方の地山性状を予測・予報できるシステムに発展させ、山岳トンネル工事の安全性と生産性のさらなる向上につなげていく考えです。

以上

≪参 考≫

システム概念図

システム概念図

実証現場の概要

工事名称 九州新幹線(西九州)、木場トンネル他工事
工事場所 長崎県大村市
発 注 者 独立行政法人 鉄道建設・運輸施設整備支援機構
施 工 者 清水・青木あすなろ・菱興 特定建設工事共同企業体
工  期 2014年2月~2021年10月
施工延長 3,188m
  • トンネルL=2,885m
  • 土路盤L=179m
  • 橋梁L=20m
  • 高架橋L=104m

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