コンクリート構造物の機能保持技術「タフネスコート」に新バージョン

~被覆材を透明化し、施工後の下地コンクリートの視認性を確保~

  • 土木

2021.09.03

清水建設(株)<社長 井上和幸>はこのほど、三井化学産資(株)<社長 橘明宏>と共同開発したコンクリート構造物の機能保持・向上技術「タフネスコート工法」について、構造物に被覆するポリウレア樹脂を透明化することで、施工後の下地コンクリートの状態確認を可能にした「タフネスコート工法クリア」を開発しました。

タフネスコート工法は、コンクリート構造物の表面にポリウレア樹脂を薄く吹き付けるだけで、「剥落防止性能の向上」「貯水性能の向上」「耐久性能の向上」「耐衝撃性能の向上」といった、構造物の長寿命化に資する諸機能を付加できる樹脂吹き付け工法です。本工法に用いるポリウレア樹脂は、引張強度24N/mm2、伸び性能200%というバランスの良い材料特性を備えます。このため、引張力が作用してもなかなか破断せず、引張りに弱いというコンクリートの弱点を補うことができます。経年劣化の進むインフラ構造物の維持管理の効率化が社会的な課題となるなか、タフネスコート工法はこれらの課題に対応できる技術として採用件数が増加しています。

一方、技術の普及に伴い顕在化してきたのが、表面を被覆した後も下地コンクリートの状態を確認したいという新たなニーズです。従来のタフネスコートの樹脂材料は、吹き付け時に混入する微小な独立気泡に光が乱反射して白濁化し、また、紫外線により樹脂成分が黄変する性質を有していることから、顔料を添加して着色しています。このため、下地コンクリートの状態を施工後に確認することは困難でした。

新たに開発したタフネスコート工法クリアでは、ポリウレア樹脂の成分配合を工夫することで、樹脂成分の黄変の進行を遅らせ、被覆材の変色を防止します。また、成分配合と塗装条件の最適化により白濁の原因となる独立気泡の混入を極力抑え、従来工法よりも硬化開始時間を遅らせることにより気泡を被覆材から除去する時間を確保します。これらにより、透明な状態で変色の度合いの少ない被覆を実現しました。この透明なタフネスコートは吹き付け後、約3分で硬化し、早期に所定の強度を発現します。その引張強度は15N/mm2、伸び性能は450%で、従来のタフネスコートより強度が若干低く、伸びが大きい特性を有します。

タフネスコート工法は、2021年6月に土木学会の技術評価を取得するなど、技術の実用性に対する社会的な認知が高まりつつあります。また、タフネスコート工法クリアを新たにラインナップに加えたことで、技術のさらなる普及が見込まれます。当社は今後、タフネスコートシリーズの現場適用に注力し、コンクリート構造物の維持管理の効率化に寄与していく考えです。

以上

≪参 考≫

タフネスコート工法クリアの施工事例

吹付け
吹付け
吹付け完了
吹付け完了
タフネスコート工法クリア吹付け後の状態(ひび割れ)
ひび割れ
タフネスコート工法クリア吹付け後の状態(クラックスケール)
クラックスケール
タフネスコート工法クリア吹付け後の状態(文字)
文字

タフネスコート工法クリア吹付け後の状態

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