業界初、BIMデータと法適合判定プログラムで建築確認の事前協議を実施

~実案件でBIMデータによる建築確認システムの有効性を確認~

  • 建築

2021.04.16

清水建設(株)<社長 井上和幸>と指定確認検査機関である一般財団法人日本建築センター(BCJ)<理事長 橋本公博>は、総合病院の実案件の建築確認において、業界で初めてBIMデータと法適合判定プログラム等を活用した事前協議を実施、このほど本申請を経てBCJから当社へ確認済証が交付されました。この事前協議は、昨年、当社がBCJの協力を得て構築した「BIMデータによる建築確認システム(以下、新システム)」にもとづくものです。なお、現行では、法により建築主事による確認申請図書(図書及び書類)の確認が義務付けられているため、申請図書による事前協議も実施しています。

新システムによる建築確認の第一号案件は、当社が設計施工を受注した三愛会総合病院(所在地:埼玉県三郷市)です。規模は地上7階、延床約17,200m2、構造は鉄骨造(一部CFT造)、工期は2021年3月~2022年9月中旬です。当社は2020年2月に設計に着手後、10月から新システムによる建築確認に取り組みました。

当社は、新システムの初適用に向け、建築確認の審査手順、審査に必要なデータや表現等について改めてBCJと協議。協議結果にもとづき、病院建築の法適合判定に必要なプログラム13ツール及び、審査に必要な情報を表示するビューテンプレート(ビューワー)32種を整備、それらの有効性についてBCJの確認を得ました。また、BIMデータの構造計算(※1)や面積算定(※2)に用いる市販ソフトについても、ベンダーの協力を得て事前協議に必要な機能を付加しました。

BIMデータによる事前協議に際しては、すでにBCJによる確認を得ている建築基準法関連情報を持つファミリ(パーツ=部材の形状情報と属性情報)により当社がBIMデータを作成し、クラウドを介してBCJと共有。法適合判定プログラムならびに機能を付加した市販ソフト等を事前協議に活用し、BIMデータ上で事前協議を実施しました。また、三愛会総合病院は構造計算適合性判定(※3)の対象になることから、指定構造計算適合性判定機関である(株)東京建築検査機構(TBTC) <社長 濵田信彦>に構造計算適合性判定を申請。TBTCについてもクラウドを介してBIMデータを共有し、必要な機能が付加された構造計算ソフト(※1)等を用いて事前協議を実施しました。

こうした事前協議を経て、法適合を確認したBIMデータから当社が確認申請図書(PDF)を作成し、建築確認を電子申請。その後、BCJが確認済証の発行に必要な手続きを実施しました。

以上

≪参 考≫

新システムによる建築確認申請のフロー

BIMデータによる建築確認システムを開発した背景

BIMの普及に伴い、BIMのデータを使用した建築確認申請を実現した事例は報告されているが、BIMの3D形状による建物空間の把握とBIMから出力した図面による審査にとどまっており、BIMの“データ”とプログラムを活用した事例はない。当社はこうした状況や国土交通省が主催する建築BIM推進会議の動向を踏まえ、昨年、BCJの協力を得て、建築基準法関連情報を持つファミリ(パーツ=部材の形状情報と属性情報)で作成したBIMモデルと法適合を判定するプログラム等を活用し、建築確認の事前協議を支援する新システムを構築した。

※1  BUS-6 +Revit Op.(株式会社構造システム)

一貫構造計算ソフト「BUS-6」と、BIMモデル(Revit)の間でデータの共有を可能にするオプションプログラム「+Revit Op.」で構成される。双方向連動するため、構造計算モデルとBIMモデルの整合が担保される。

※2 求積ツールfor Revit(生活産業研究所株式会社)

Revitのアドオンシステムで、入力済の3D建物モデルから、面積計算を効率的に行うツール。2021年秋頃発売予定。

※3 構造計算適合性判定

2007年(平成19年)6月20日に施行された改正建築基準法において、新しく設けられた制度。一定規模以上の建築物において建築確認審査を受ける場合、当該建築の構造計算の審査「構造計算適合性判定」を指定構造計算適合性判定機関に依頼する。適合すると判定されたのちに、建築主事または指定確認検査機関により確認済証が交付される。

ニュースリリースに記載している情報は、発表日現在のものです。ご覧になった時点で内容が変更になっている可能性がございますので、あらかじめご了承ください。ご不明な場合は、お問い合わせください。