虎ノ門・麻布台プロジェクトで自律型ロボットと人のコラボがスタート

~第一陣として溶接ロボット「Robo‐Welder」を投入~

  • 建築

2021.02.17

清水建設(株)<社長井上和幸>が港区で施工中の「虎ノ門・麻布台地区第一種市街地再開発事業(以下、虎ノ門・麻布台プロジェクト)A街区新築工事」において、AIを搭載した自律型建設ロボットと人とがコラボしながら工事を進める次世代型生産システム「シミズスマートサイト」を展開します。このほど、第一陣として投入した溶接ロボット「Robo‐Welder」が始動、地下階での巨大な鉄骨柱の溶接を経て、いよいよ地上階で本格稼働を開始します。

自律型ロボットのRobo‐Welderは、ヒトの腕のように動く6軸のアームにより、その先端に装備した形状認識用のレーザーセンサと溶接作業を行うトーチを自在に操り、溶接部位(開先)の形状を確認しながら溶接していきます。作業のポイントは、トーチから供給する溶接ワイヤーと呼ばれる直径1.2mm程度の材料で、あたかも細い紐を隙間なく巻き付けていくように、開先を埋めていくことです。こうした制御は大阪大学と共同開発したシミュレータが担います。

Robo‐Welderが溶接した地下階の鉄骨柱の板厚は100mmで、建設ロボットによる溶接実績としては日本国内では最厚です。また、省人化効果も確認でき、熟練の溶接工でも柱1本当たり8人日かかる作業を5人日で対応できました。これから始まる地上階の溶接作業では14台の溶接ロボットを投入し、A街区全体で約1,800kmに及ぶ溶接長の約15%を代替する計画です。これにより、上棟までに500人程度の省人化と夏場の溶接工の作業負荷の大幅削減を図ります。

第二陣の予定は今夏から稼働予定の自動搬送ロボット「Robo-Carrier」です。地上階配備のロボットが資材を積載したパレットを荷受けし搬送用エレベータに搭載、施工階配備のロボットがエレベータから荷受けし所定の位置まで自動搬送します。計5台が連携し、搬送するパレット数は約4万体にも及びます。第三陣としては4本足の巡回ロボットが来年早々の稼働を予定しています。このロボットは現場内を自由自在に動き回り、搭載している映像機材を駆って出来高をチェックしながら、出来高の映像データを事務所に送信します。これにより、施工管理者は事務所に居ながらも現場の動きが手に取るように分かります。

当社は今後、虎ノ門・麻布台プロジェクトにおいて、ロボット施工を本格的に展開するとともに、施工管理のデジタル化を進め、日本一の現場に相応しい次世代を見据えた現場運営を目指します。

以上

≪参 考≫

工事概要(A街区)

建設地 港区虎ノ門五丁目、麻布台一丁目及び六本木三丁目各地内
発注者 虎ノ門・麻布台地区市街地再開発組合
用途 共同住宅、事務所、店舗、各種学校、自動車車庫等
規模 敷地面積24,104.21m2、建築面積15,247.18m2、延床面積461,876.64m2、地上64階、地下5階、塔屋2階
構造 S造、一部SRC・RC造(制振構造)
工期 2019年8月~2023年3月予定
設計 森ビル(株)一級建築士事務所、(株)日本設計、清水建設(株)一級建築士事務所(地下構造設計(共同設計))
施工 清水建設(株)
鉄骨柱を溶接中のRobo‐Welder

工事の経過

虎ノ門・麻布台地区市街地再開発組合が港区虎ノ門五丁目、麻布台一丁目及び六本木三丁目各地内で開発を進めている再開発事業(延床86万m2、計7棟のビル群から構成)のうち、当社は再開発の核となるA街区(地上64階、地下5階、延床約461,877m2)とB-2街区(高層住宅、地上54階、地下5階、延床約169,259m2)を2019年3月に受注。

同年8月の着工後、A街区の作業所では、高層部分の地下を約25万㎥掘削し、地下38mの位置に約3.2万㎥のコンクリートを打設して平面80×80m、厚さ5mの巨大な基礎(マットスラブ)を構築。続いて2020年10月に鉄骨建方工事に着手。A街区の鉄骨総数量は約13万tに及ぶ。今後、地上階の鉄骨建方工事が本格化する。

地上階の鉄骨建方開始時の状況
地上階の鉄骨建方開始時の状況
A街区の全景
A街区の全景

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