外気を取り入れ感染症対策、でも騒音は入りません!

~遮音性能を備えた自然換気用給気スリット「しずかスリット」を開発~

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2021.02.24

清水建設(株)<社長 井上和幸>はこのほど、建物の感染症対策や省エネに有効な自然換気用の外気吸い込み口として、室内に外気を取り入れても騒音は入ってこない新たな給気スリット「しずかスリット」を開発・実用化しました。こうした騒音低減機能を備えた給気スリットの開発は前例がありません。しずかスリットは開閉装置と一体になったユニットとして外装材に組み込まれます。ビル用設備機器メーカーのオイレスECO(株)がユニットを製作し、当面、当社に独占的に供給した後、外販を予定しています。

新型コロナ感染症対策やZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)化の有効な手段として、自然換気設備を採用する建物が増えています。通常、建物の外壁に外気を室内に取り入れる給気用スリットを設けますが、交通騒音などが外気とともに侵入し、室内の音環境を悪化させます。このため、せっかく自然換気設備を導入しても、スリットを閉鎖している建物が多く見受けられます。そこで当社は、スリットに吸音・共鳴機能を組み込むことで、外気の取り入れには解放、騒音防止には閉鎖という相反する課題を解消しました。

しずかスリットの断面形状は、従来の自然換気用給気スリットと同様、L字型をしており、スリット幅は30mmです。スリット下端から入ってくる外気は、スリット片側に組み込んだ吸音材、続いてスリット両側に組み込んだ共鳴器、開閉装置部を経て室内に至ります。吸音材は、耐候性・耐水性に優れた不燃性ポリエステル繊維で、騒音のうち主に中高周波域の騒音を吸収します。共鳴器は吸音材で吸収しきれない中低周波域の騒音を低減します。共鳴器はスリットに面した開口と開口に続く容器(空洞)から構成され、容器内の空気がバネの役割を果たし騒音を遮断します。開口幅と容器の容量を調整することで、低減したい騒音の周波数に応じたカスタマイズが可能です。

実証実験の結果、この仕組みにより、屋外の幹線道路や鉄道から給気スリットを介して室内に入ってくる騒音のうち中心となる500~2,000Hzの騒音について、5~9db低減できることを確認できています。この効果は、騒音のエネルギー量に換算すると1/3~1/8以下、明らかに騒音が低減されたことが体感できるレベル、ということ意味します。

こうした騒音低減効果が確認されたため、すでにしずかスリットは大規模オフィス2件の設計提案に採用されています。当社は今後、様々な用途の建物に対してしずかスリットの採用を提案していくとともに、カーテンウォール一体型のユニットの開発を進めます。

以上

≪参 考≫

しずかスリットの仕組み

しずかスリットの仕組み
しずかスリットの仕組み

ユニットの仕様

ユニットの仕様

オイレスECO(株)

所 在 地 品川区西五反田7丁目21-1 第5TOCビル
社  長 前田 隆
設  立 1973年12月20日
資 本 金 2億円(オイレス工業(株)の100%子会社)
事業概要
  • 窓開閉機器及び住宅用・ビル用設備機器と部品の販売、製造、保守、点検
  • 建築関連向け省エネ機器、防災機器、建具、免震装置及び自動制御機器の取付ならびに据付工事及びこれらに付随するその他の諸工事
  • 土木工事、とび工事及び舗装工事
  • 鉄骨・鉄筋加工及びその請負工事
  • 前各号の業務に関連または付帯する一切の事業

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