ベトナム国で枯葉剤汚染土壌の浄化実証に成功

~本日、ハノイ市で実証成果を発表~

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2020.12.08

清水建設(株)<社長 井上和幸>はベトナム国国防省の承認を得て、同国環境処理技術センター(CTET)と共同で、ドンナイ省ビエンホア空軍基地において2019年と2020年の2回に分け、枯葉剤由来のダイオキシン汚染土壌を洗浄処理する技術の有効性を実証実験により検証、本日、その成果をハノイ市内のホテルにおいてベトナム及びアメリカの政府関係者を招いて発表します。

汚染土壌の洗浄技術は当社が開発・実用化したもので、日本国内において数百万tの処理実績があります。当社はビエンホア空軍基地で計画されているダイオキシン汚染土壌浄化プロジェクトへの参画を目指しており、そのためには高濃度汚染土壌に対する技術の有効性を検証する必要があると考え、基地内に実際に使用する土壌洗浄プラントを設置し、実証実験により約900tの汚染土壌を洗浄処理しました。設置したプラントは、1日8時間稼働の場合は30,000〜37,500m3/年、16時間稼働の場合は65,000~80,000m3/年の処理が可能です。

当社の洗浄技術は、土の細粒分に汚染物質が付着するという特性を利用しています。土壌に水を加えた後、土壌を粒子径により篩い分けし、汚染物質を水に溶出させることなく、細粒分とともに取り除きます。ビエンホア空港の土壌の場合、細粒分が30~35%含まれているので、65%~70%の土壌を再利用することができます。細粒分とともに取り除いた有害物質については、別途、熱分解処理により無害化します。実証実験では、例えばダイオキシン濃度3,500pptの土壌については、100ppt以下(除去率95%以上)にすることができました。ベトナムのダイオキシン濃度基準は、都市部の居住用土地で300ppt、レクリエーション用土地で600pptとなっています。

CTETおよびベトナムの関連機関は、実証実験プロセスを監視し評価した結果、当社の土壌洗浄技術は、技術の信頼性、時間当たりの処理量、環境影響、消費エネルギー、コストともに優れているという判断を下しています。例えば、環境影響については、排水と大気へのダイオキシンの拡散は無い、プラント撤去後に汚染は残らない、作業者がダイオキシンに暴露されていない、消費エネルギーは熱分解処理に比べて格段に少ないと評価。また、コストについては、当社の洗浄処理技術と熱分解処理を組み合わせることにより、処理後の土壌中のダイオキシン濃度を100ppt未満にするという条件では、熱処理だけの場合に比べ、対策全体のコストを平均で約85%に、同濃度が600ppt未満という条件では平均で約65%に削減可能という試算結果を出しています。

当社は、ベトナムにおいて優れた特長が認められた土壌洗浄技術により、まさに人道的活動と言える、ベトナムとアメリカが進めるビエンホア空軍基地のダイオキシン浄化プロジェクトへの参画を目指します。

以上

≪参 考≫

当社がビエンホア空軍基地内に設置した土壌洗浄プラント
当社がビエンホア空軍基地内に設置した土壌洗浄プラント

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