新形状のPCaボックスカルバート「角丸(かくまる)カルバート」を開発

~コスト削減でトンネル工事のPCa化を推進~

  • 土木
  • 構造

2020.11.24

清水建設(株)<社長 井上和幸>はこのほど、トンネル工事のPCa(プレキャスト)化推進の一環として、コスト削減に寄与する新形状のPCaボックスカルバート「角丸かくまるカルバート」を部材メーカーの千葉窯業(株)と共同開発しました。このボックスカルバートの特徴は、隅角部の形状を直角から円弧状にすることで内部に局所的に作用している負荷を低減し、鉄筋コンクリート量を削減することです。開発にあたっては、当社が形状や配筋方法の検討、性能確認、千葉窯業(株)が製造を担当しました。

国土交通省は、建設現場における生産性向上の切り札として「i-Construction」を推進しています。その重点施策の一つが土木構造物のPCa化ですが、コスト削減が課題となっています。新形状のPCaボックスカルバートの開発はこうしたニーズに対応したものです。

ボックスカルバートは、断面が矩形(四角)のトンネルを構築するためのロの字型の構造体です。従来の直角の隅角部には、下図のように土圧によってL字をV字に変形させるような大きな負荷が局所的に作用していますが、隅角部を円弧状にすることで負荷が分散されるので、局所的に作用していた負荷を30%低減できます。また、隅角部内側(入隅)と外側(出隅)の円弧の中心位置を変えることで、側壁と頂版・底版の厚さを任意に設定できます。この結果、従来のPCa部材に比べ、最大で鉄筋量を40%、コンクリート量を10%、結果として製作費を約15%削減でき、経済的に優れた製品が製造可能となっています。なお、実物大1/2スケールの試験体を使用した実証実験により、角丸かくまるカルバートが従来のボックスカルバートと同等の性能を発揮することを確認しています。

角丸かくまるカルバート」は来秋に、当社JVが施工中の新東名高速道路川西工事の開削トンネルへの適用を予定しています。トンネルの全長は98m、PCa部材1体の外寸はタテ7.95m、ヨコ9.7m、幅1mで、重量は54t、使用数は98体です。搬送トレーラーの最大積載荷重を考慮して、PCa部材を4ピースに分けて工場製作します。現場では4ピースを鉄筋の継手とモルタルで接合・一体化した後、所定の場所に据え付け連結・延伸します。

当社は引続き、土木構造物のPCa化に伴うコスト増大を抑制する技術開発に取り組み、PCa化を推進することで建設現場の生産性を一層向上させていく考えです。

以上

≪参 考≫

新東名高速道路 川西工事

工事場所 神奈川県足柄上郡山北町向原~静岡県駿東郡小山町生土
発 注 者 中日本高速道路(株)東京支社
施 工 者 清水建設(株)・岩田地崎建設(株)特定建設工事共同企業体
工  期 平成28年7月22日~令和4年4月21日

新東名高速道路 川西工事に適用する角丸かくまるカルバートのイメージ

新東名高速道路 川西工事に適用する角丸カルバートのイメージ

隅角部の変形イメージ(黒線:L字⇒赤線:V字)

隅角部の変形イメージ(黒線:L字⇒赤線:V字)

試作製品の写真

試作製品の写真

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