2020.10.28
清水建設(株)〈社長 井上和幸〉はこのほど、木質建築の要素技術として、集成材と鉄骨を一体(ハイブリッド)化した耐火木鋼梁「シミズ ハイウッド ビーム」を開発、能登ヒバを集成材に用いた耐火木鋼梁について1時間の耐火性能を認定する国土交通大臣認定を取得しました。初適用となる当社北陸支店新社屋では、古都金沢の伝統的な建築様式である格天井を最新の技術である耐火木鋼梁によって再現し、スパン25m超の木質大空間を実現します。
国や自治体による「公共建築物等木材利用促進法」の推進、企業のSDGsへの取組みを背景に、鉄骨造や鉄筋コンクリート造と木造を一体化した木質構造の建築物が普及しつつあります。当社は、木質構造を構成する技術を「シミズ ハイウッド®」と称し、中大規模の木質建築向けの技術開発を推進しています。木質大空間を実現するシミズ ハイウッド ビームの開発はその一環です。
耐火木鋼梁とは、鉄骨梁を覆う集成材が耐火被覆の役割を果たす木質構造部材です。集成材は、火災時には炭化して断熱層を形成し、鉄骨梁の温度上昇を抑えることで耐火性能を維持します。平常時には密着させた集成材が鉄骨梁の剛性を補完するとともに仕上げ材の役割を果たします。
当社は、北陸支店新社屋への耐火木鋼梁の適用にあたり、北陸地方における地元林業の活性化に寄与すべく、集成材に石川県産の能登ヒバを採用しました。国土交通大臣認定では、鉄骨梁の断面が梁成(H型鋼の高さ)350~1,000mm、ウエブ※厚12mm以上、フランジ※厚19mm以上について、能登ヒバの集成材により80mmの被覆を施すことで、1時間の耐火性能を確保できる、としています。これまでも大臣認定を取得した耐火木鋼梁製品がありましたが、認定対象の鉄骨の梁成が最大600mm、かつ集成材がカラマツに限定されており、構造性能、材種とも北陸支店新社屋の設計条件を満たすことができませんでした。
北陸支店新社屋では、仕上がり断面が高さ1,160mm、幅310mmのシミズ ハイウッド ビームを採用します。内蔵する鉄骨梁は、梁成1,000mm、フランジ幅150mmです。この木鋼梁をオフィス空間の長辺方向に3.6m間隔で架設するとともに、同サイズの能登ヒバの集成材を用いて格子角1.8mの格天井を築きます。能登ヒバの使用数量は計228m3となります。この格天井は、設計コンセプト「北陸の地域・未来とつながるオフィスづくり」で示した、“未来につなげる新技術の採用”、“金沢の歴史・伝統との融和”に対応するものです。
当社は今後、カラマツの集成材を用いた耐火木鋼梁についても大臣認定を取得するとともに、引き続き木質建築技術の開発に広く取り組み、顧客の様々な木質化ニーズに応えていく考えです。
以上
≪参 考≫
ウエブ、フランジ
北陸支店新社屋の概要
建設地 | 金沢市玉川町5-15 |
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規 模 | 地下1階・地上3階、延床面積4,100m2 |
構 造 | 鉄筋コンクリート造一部鉄骨造 |
工 期 | 2020年4月~2021年4月 |
設計施工 | 清水建設(株) |
シミズ ハイウッド ビーム
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