2020.09.08
清水建設(株)<社長 井上和幸>はこのほど、コンクリートの打継ぎ処理の効率化に向け、経験が浅い作業員でも簡単に、ムラなく万遍に散布できる新たな打継ぎ処理剤「シーカ®ルガゾール-919」をスイスの建設用・工業用化学製品大手シーカの日本法人・日本シーカ(株)と共同開発しました。日本シーカ(株)は9月中旬から、「シーカ®ルガゾール-919」を1缶(18㎏)2万3千円で外販する予定です。
コンクリートを打設すると、表層に余剰水とともに不純物が浮上し、レイタンスと呼ばれる1~2mm程度の薄い脆弱層が形成されます。レイタンスの除去作業を打継ぎ処理と呼び、コンクリートの品質管理には欠かせない作業です。通常、コンクリートの打設後にレイタンスの硬化を防止する処理剤を散布して、翌日、高圧水等を用いてレイタンスを除去します。
一方、処理剤散布作業には諸課題がありました。例えば、打設直後は余剰水が処理剤の有効成分を希釈・流出させるため、余剰水の収束を2~3時間待って散布せざるを得ない、1m2あたりの散布量が300㏄程度にもなるので勾配部に散布すると流れて落ちてしまう、また、処理剤が薄い褐色のため散布状況を確認しづらい、といったことです。仮に、処理剤の散布が不充分になると、高圧水では除去できず、別途レイタンスを削り取る無駄な作業が発生するため、熟練工が細心の注意を払って散布作業にあたっていました。
新開発の「シーカ®ルガゾール-919」の特長は、含有成分のアルカリ増粘剤の作用により、コンクリートに触れると処理剤自体が粘性を増し、特定の噴霧器を使用すると泡立つことです。このため、コンクリートの打設直後に散布しても成分が希釈・流出せず、しっかりコンクリートの表面を覆い浸透するとともに、傾斜部にも問題なく散布できます。また、泡により散布済み部位を視認できるので経験が浅い作業員でも噴霧器を使ってムラなく散布できます。さらには、散布までの待機時間を削減できることから、待機時間を2時間と想定した場合、従来の処理剤に比べ、材工(材料費・工事費込み)で約30%のコスト削減が可能です。
当社は今後、「シーカ®ルガゾール-919」を先に開発したコンクリート品質総合管理システム「Concrete Station」が提供するソリューション技術に加え、現場に広く展開していく考えです。なお、開発にあたっては当社が処理剤の仕様設定、性能確認、日本シーカ(株)が製造を担当しました。
以上
≪参 考≫
「日本シーカ株式会社」概要
本社 | 東京都港区港南2‐15‐2 品川インターシティB棟10F |
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社長 | 番馬 健一 氏 |
資本金 | 4億9千万円 |
設立 | 1955年(日本法人として設立登記した年) |
事業概要 | 各種土木・建築・工業用化学製品の製造・販売と研究開発 |
「シーカ®ルガゾール-919」の散布状況

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