中京圏初の木質ハイブリッド構造のマンションが竣工

~木が醸し出す自然のぬくもり、優しさを実感~

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2020.07.14

清水建設(株)<社長 井上和幸>の設計・施工により、名古屋市千種区に中京圏初となる木造と鉄筋コンクリート(RC)造を組み合わせた木質ハイブリッド構造の中層マンションが明日(7月15日)、竣工します。外観を見ると通常のマンションと異なる斬新な構造形式を一目で認識できるとともに、居住空間に入ると木が醸し出す自然のぬくもり、優しさを実感することができます。

この中層マンションは、建築面積850m2、延床面積3,214m2、地下1階が駐車場、地上1~4階が26戸の住宅となっています。特徴は、構造体や内・外装の仕上げ材として約220m3もの木材を採用し、「木質の居住空間」を創出していることです。こうした取り組みが評価され、2018年度の「サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)」に採択されています。竣工後は、当社社宅として使用するとともに、一部住戸を木質ハイブリッド構造のショールームとして活用します。

基本的な構造計画は、1階床(幅50.5m、奥行き17.0m、厚さ90cm)を免震構造の人工地盤とし、その上に4階建ての建物を載せた構成になっています。建物長辺方向の外周に位置する梁56体と柱28体、間柱56体には、当社が国土交通大臣認定を取得した木質耐火部材「スリム耐火ウッド」を初採用。また、自社開発の木質ハイブリッド構造技術「シミズ ハイウッド」により柱・梁を接合し、中層共同住宅に求められる耐震性、耐火性、居住性を確保しています。

各住戸内には、原則2体ずつ、直交集成板(CLTパネル)製の耐震壁を配置。耐震壁は建物の長辺方向に作用する地震力の最大60%程度を負担するとともに、間仕切り兼仕上げ材としても機能します。耐震壁と内装仕上げ材に採用した木材が相まって、“木質の居住空間”に相応しい空間を演出します。

今後、自治体による「公共建築物等木材利用促進法」の推進などを背景に、仕上げ材はもとより、構造体にも木材を用いる建築物の増加が見込まれます。当社は、「スリム耐火ウッド」、「シミズ ハイウッド」を中大規模の建築に対する提案の中に採り入れ、付加価値の高い木質構造を実現していく考えです。

以上

≪参 考≫

工事概要

工事名称 茶屋ヶ坂アパート建替工事
所 在 地 名古屋市千種区赤坂町1-29-2
規  模 地下1階、地上4階、建築面積849.60m2、延床面積3,214.18m2
発注・設計・施工 清水建設(株)
工  期 2018年12月~2020年7月
参  考 社宅名称は「アネシス茶屋ヶ坂」
外観(南面)
外観(南面)
外観(南西面)
外観(南西面)
エントランス
エントランス
テレワークルーム
テレワークルーム
住戸内
住戸内

構造計画

RC造+木造のハイブリッド構造・免震構造 構造モデル
RC造+木造のハイブリッド構造・免震構造 構造モデル
CLT耐震壁 断面図
CLT耐震壁 断面図
住戸部分の構造モデル
住戸部分の構造モデル

シミズ ハイウッド(Shimz Hy-wood)

シミズ ハイウッドではPCa接合部材を介して、木質構造とRC造、あるいはS造といった異なる構造の柱同士や柱・梁を接合・一体化することで、様々なニーズに応じた自由な木質空間を提供する。PCa接合部材は耐震性、施工性に優れる。また、火災時に高温となるS梁から木質柱への熱伝導・延焼を抑制する。

柱・梁の構成
柱・梁の構成
CLT耐震壁の接合部
CLT耐震壁の接合部
詳細断面図
詳細断面図

スリム耐火ウッド

特徴は、耐火シートと強化石膏ボードの異種材料を組み合わせて、二重の燃え止まり層を形成すること。火災時の加熱により薄い耐火シートが発泡する断熱効果と強化石膏ボードによる吸熱・断熱効果により、燃え止まり層の耐火性能を高めつつ、その厚さを32㎜に抑えている。燃え止まり層を薄くすることにより、コストを低減するとともに、室内の有効空間や開口面積を広くできる。

スリム耐火ウッドの構成
スリム耐火ウッドの構成

サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)

この事業は、再生産可能な循環資源である木材を大量に使用する大規模な木造建築物等の先導的な整備事例について、その具体の内容を広く国民に示し、木造建築物等に係る技術の進展に資するとともに普及啓発を図ることを目的にしている。

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