新開発のConcrete Stationが若手土木技術者の実務を支援

~コンクリート品質に関するリスクを着工前に抽出、対策立案~

  • 土木

2020.06.29

清水建設(株)〈社長 井上和幸〉はこのほど、土木工事のコンクリート品質に関するあらゆるリスクを着工前に全工期にわたって抽出し、具体的な対策の立案から打設管理に至る一連の施工管理業務を支援するコンクリート品質総合管理システム「Concrete Station」を開発しました。このシステムを活用することで、経験の浅い若手土木技術者でも、コンクリート打設の施工管理を計画的に実施できます。

コンクリートの施工管理は、コンクリートの配合設計や打設場所の事前点検、受入検査、圧送管理、打重ね管理、バイブレーターによる締固め管理、打設後の養生管理、打継ぎ処理、表層品質評価など多岐にわたります。しかも、気象条件や構造物の形状、配筋密度等により、配慮するポイントが異なるため高度な技術力が要求されます。このため、多くのマニュアルが整備されていますが、若手土木技術者が使いこなすのは容易ではありません。

こうしたマニュアルや様々な品質管理基準をデータベースに開発したのがオールマイティなConcrete Stationで、リスクロードマップ作成、打設計画支援、チェックリスト作成などの機能を備えています。適用に当たっては、初めにコンクリート工事の基本情報を入力します。打設部位ごとの打設量(m3)、鉄筋の最小間隔(mm)、最大鋼材量(kg/m3)、初回打設時期(年月)、配合(空気量、水セメント比、流動性)、プラントからの運搬時間、ポンプ車からの圧送距離、施工手順などです。工事規模によっても異なりますが、一連の入力作業に要する時間は数時間程度です。

基本情報が入力されると、Concrete Stationはリスクロードマップ作成機能により、計画段階で検討・解決すべきマスコンクリートの温度ひび割れや高密度配筋での充填不良などのリスク、施工段階で検討・解決すべき型枠内の異物混入、コールドジョイントの発生、寒中施工における初期凍害などのリスクを抽出します。そのうえで、それぞれのリスクについて、事前検討の着手期日や各種解析の実施期日、具体的な対策の立案期日などを示すリスクロードマップを計画段階と施工段階に分けて作成します。

続いて、打設計画支援機能により、ロードマップ上に示されたリスクに対して現場の施工条件に応じた対策を提案。最終的にはチェックリスト作成機能により、個々のリスクに対応したチェックリストを作成します。このため、若手土木技術者でも、Concrete Stationが提示するロードマップに従いリスク対応をしていけば、コンクリート打設の施工管理を計画的に実施できます。なお、検討・実践した対策はデータベースに蓄積され、同種の工事や類似した施工条件の現場へ展開されます。

当社は今後、Concrete Stationの現場適用を進めるとともに、Concrete Stationによる検討・対策・施工結果の評価・分析結果をAIに学習させ、将来的にはAIシステムの構築を目指します。

以上

≪参 考≫

Concrete Stationのシステム開発概念図

Concrete Stationのシステム開発概念図

リスクロードマップの事例

リスクロードマップの事例
  1. 設計図書等の条件より、構造物の鋼材量や、最小あき、設計上のスランプを入力・設定。
  2. ロードマップ上にコンクリート充填不良というリスクを抽出。
  3. リスクアイコンを選択することで高密度配筋や、配合不適合といった不具合の原因を表示。
  4. 高密度配筋を選択すると、図面照査→充填シミュレーションといった対策のステップを表示。
  5. 実施する対策を選択すると、具体的な対策案や関連する要素技術を表示。
  6. 検討・対策が完了するとロードマップ上のリスクアイコンが消えると同時に、チェックリストに必要なチェック事項が付加される。

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