ベルトコンベヤ監視システムの共同実証試験を開始

~不具合の予兆検知により故障リスクと運用コストを低減~

  • 土木
  • 環境

2020.06.18

清水建設(株)<社長 井上和幸>はこのほど、ドイツの自動車部品大手ボッシュの日本法人と共同で、土木工事に用いる長距離ベルトコンベヤの不具合予兆を検知するシステムの構築に向け、IoT技術を駆使した「ベルトコンベヤ監視システム」の実証試験を開始しました。

昨今のトンネル工事では、環境への配慮により、掘削で発生する排土の搬出に、ダンプ等の大型車両に代えて、ベルトコンベヤを使用するケースが増えています。工期中に連続稼働するベルトコンベヤは、一旦故障してしまうと工期遅延等の多大なリスクに直結するため、多くの場合、稼働期間が2年程度経過すると、予防措置として故障の有無にかかわらず、ベルトやローラーなどの可動部分を一斉交換します。ただ、一斉交換には多大な費用を要するため、不具合の予兆を検知し適時・適切なメンテナンスを行うことで、故障リスクを回避しつつ運用コストを低減することが求められています。

ベルトコンベヤ監視システムは、こうしたニーズに対応すべく、不具合の予兆になりうる設備の回転振動の微変調やローラーベアリングの劣化による発熱、ベルト部分の細かな損傷を広範囲にわたり検知します。システムの核は、ボッシュが開発した監視デバイス「TRACI」に連動させた加速度・温度の2種類のセンサー、光学スキャンセンサー「LiDAR」です。そのほか、ゲートウェイ、クラウド、アプリなどでシステムを構成しています。

加速度センサーは、通常時のベルトコンベヤの振動状態を認識し、振動の変化を通じて故障を検知、温度センサーはローラーベアリングの発熱、光学スキャンセンサーはベルト部分の損傷を検知します。これらの検知情報がゲートウェイを介してIoTクラウドに送信され、データ処理後にスマートフォンのアプリで閲覧できます。システムの開発にあたっては、当社が不具合の予兆を検知するシステムの発案・性能チェック、ボッシュがTRACI・LiDARの応用方法の検討を行いました。

実証試験には、東京外かく環状道路本線トンネル(南行)大泉南工事作業所に設置している1,150t/hの排土運搬が可能な約5㎞のベルトコンベヤを使用しています。このベルトコンベヤの全長にわたり加速度センサーを200個、直線50m部分1ヶ所と不具合が起こりやすいカーブ50m部分2ヶ所のフレーム部分に温度センサーを400個、ベルトコンベヤの排土搬出入口の両端に光学スキャンセンサーを計8個設置しています。それぞれのセンサーが感知する振動、温度、画像の各データを蓄積し、不具合予兆の検知につながる判定基準を算出します。また、AIの導入も計画しており、正常時から異常時に至る際のデータの変化を抽出し、様々な予兆パターンを学習させていく予定です。

以上

≪参 考≫

「ボッシュ株式会社」(日本法人)概要

本  社 東京都渋谷区渋谷3-6-7
代 表 者 代表取締役社長 クラウス・メーダー
資 本 金 170億円
設  立 1939年
事業概要 ディーゼルおよびガソリン用エンジンマネジメントシステム・コンポーネント、乗用車向けブレーキシステム、トランスミッション制御、エアバック用コントロールユニット、自動車用センサー類、ステアリングシステム等の開発・製造・販売。自動車機器アフターマーケット製品、自動車整備機器、電動工具の輸入販売・サービスなど。

工事の概要

工 事 名 東京外かく環状道路 本線トンネル(南行)大泉南工事
工事場所 自)東京都武蔵野市吉祥寺南町
至)東京都練馬区大泉町
発 注 者 東日本高速道路株式会社 関東支社
施 工 者 清水建設・熊谷組・東急建設・竹中土木・鴻池組共同企業体
工  期 平成26年4月9日~令和3年3月17日
掘削距離 6,986m

システムイメージ

システムイメージ

LiDARによるベルトスキャンのイメージ

LiDARによるベルトスキャンのイメージ

ニュースリリースに記載している情報は、発表日現在のものです。ご覧になった時点で内容が変更になっている可能性がございますので、あらかじめご了承ください。ご不明な場合は、お問い合わせください。