杭基礎で400mクラスの超高層ビルに対応

~支持力100MN、花びら拡底杭を開発~

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2020.06.05

清水建設(株)<社長 井上和幸>はこのほど、400mクラスの超高層ビルを杭基礎で経済的に建設することを目的に、非常に高い支持力を備えた場所打ちコンクリート(かく)(てい)杭「花びら拡底杭」を丸五基礎工業(株)の協力を得て開発しました。この杭の特徴は、従来の拡底杭の2倍近い底面積を確保することで、1本あたり100MN(約10,000トン)という非常に高い支持力を発揮することです。すでに、日本建築センターより、花びら拡底杭の施工法の有効性を証する評定を取得しています。

昨今、都市部で建設が計画されている大規模物件では高層化やスパン(柱間隔)の長大化が進み、建物を支える杭は従来に増して大きな支持力が求められるようになっています。これまでは、杭本数を増やすことで支持力を高めてきましたが、掘削土量の削減や施工性の向上が求められていました。花びら拡底杭は、底面積を極大化することで、こうした課題を一挙に解決しました。

花びら拡底杭の(設計有効)底面積は1本あたり最大33.5m2(直径≒6.7m)となり、高強度コンクリートを使用することで最大100MNもの支持力を得ることができます。極大化を可能にしたのが、杭下端部の新たな拡底掘削方法です。従来通り拡底掘削機を用いて杭底部中心で1回拡底掘削した後、拡底掘削機を杭底部中心から水平方向かつ同心円上に移動させては拡底掘削を2~8回繰り返し、花びらのような底面形状を有する拡底杭を構築します。一連の杭底掘削作業には、従来の拡底掘削機の先端に突起(スタビライザー)を装備するだけで対応できます。

地下20~40mに支持層が広がる東京都心部で支持力100MNの杭を構築する場合の試算では、従来の杭より排土量が20%~33%、施工期間が10%~20%の減となり、大きなメリットが得られます。また、花びら拡底杭を(さか)(うち)工法で建設する超高層ビルに適用すると、大幅な工期短縮も期待できます。同工法では、ビルの地下躯体が完成するまでの間は杭だけで施工中のビルの全荷重を支えるため、杭の支持力が低いと地上階の施工を進捗できない期間が生じるためです。

花びら拡底杭の施工法の有効性、杭体コンクリートの品質については、実物大の花びら拡底杭3体を試験施工し、うち最大拡底幅6.7mの杭1本を築造後に掘り出して調査し、検証済みです。

当社は今後、超高層案件に対して花びら拡底杭を積極的に提案していくことで、案件受注に結びつけていく考えです。

以上

≪参 考≫

「丸五基礎工業(株)」会社概要

本  社 〒541-0053
大阪市中央区本町1丁目8番12号
(オーク堺筋本町ビル7階)
代 表 者 代表取締役社長 徳山 慶裕
資 本 金 1,049,000千円
創  業 1964年
事業概要 基礎工事の設計・施工、杭の製造・販売、他

逆打工法

施工中の建物荷重を支える杭を最初に打設し、地上と地下の躯体を同時に施工することで工期短縮を図る工法。最終的には支持層に接する最下階のコンクリート床(耐圧盤)が建物全体の荷重を支えるが、耐圧盤構築前の建物荷重は杭が支えるため、杭の支持力によっては地上階の施工が制約を受けることがある。

逆打工法の普及前は、最初に建物最下階の床レベルまで掘削し、地下から地上に向けて躯体を順に施工していた(順打工法)。逆打工法の名称は、地下工事を地上から地下に向けて行うことに由来する。

花びら拡底杭の底部形状例

花びら拡底杭の底部形状例

花びら拡底杭の規模(左)と試験施工杭の検証状況

花びら拡底杭の規模
試験施工杭の検証状況

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