3眼カメラシステムで配筋検査

~国交省のPRISMで検査性能を実証~

  • 土木

2020.03.27

清水建設(株)<社長 井上和幸>はシャープ(株)<会長兼社長 戴正呉>と共同でこのほど、現場で行う鉄筋配筋検査の一層の信頼性向上と省力化を目的に、三角測量の原理を応用した「3眼カメラ配筋検査システム」を開発しました。すでに、国土交通省のPRISM(建設現場の生産性を飛躍的に向上させるための革新的技術の導入・活躍に関するプロジェクト)を含む13現場に試験適用し、様々な現場環境のもとで有効性を検証済みです。

配筋検査は、コンクリート構造物の品質保証をするうえで欠かせない、非常に重要な品質管理業務の一つです。このため、検査帳票の作成や検査用具の準備、自主検査、発注者の立会検査などに多くの手間と時間を要しており、検査業務の精度を維持しつつ、効率化することが課題になっていました。3眼カメラ配筋検査システムは、こうした課題に対応するために開発したものです。

このシステムは、3眼カメラとシステム制御ソフトから構成されており、3つのカメラを用いて異なる方向から同時に撮影することにより、三角測量の原理を応用して画像データの3次元情報を把握します。制御ソフトは画像から鉄筋を抽出したうえで、縦・横方向の鉄筋径や配筋の平均間隔、本数、重ね継手の長さ、かぶり(コンクリート厚)を計測し、検査帳票まで作成します。精度は鉄筋径で±1.0mm、配筋の平均間隔で±5mmと工事管理基準内に収まっており、二段配筋等の複雑な配筋検査にも対応できます。

システムの使用方法は単純で、発注者あるいは施工者の品質管理者が指定した検査対象範囲を単に撮影するだけで、わずか7秒後に検査結果が自動的に画面表示されます。このため、管理者はストレスなく検査業務を継続できます。一度の撮影で検査できる範囲は1m四方ですが、複数の撮影結果を合成した広域の検査結果を取得することも可能です。また、配筋の妥当性が一目でわかるように、検査結果とCIMの配筋図データとを色を分けして重ね合わせることも可能です。

主なメリットは、配筋検査を漏れなく実施できること、スケールや黒板等の検査用具の配備が不要になることから、検査人員、時間をそれぞれ1/3以下に削減できることです。また、離れた場所からの配筋検査が可能なので、足場などが不要になり安全性も向上します。将来的には、このシステムで発注者の立会検査を代替し、立会日時の調整、発注者の移動等のムダを削減する考えです。

共同開発にあたっては、当社が配筋検査のニーズの整理、検査システムとCIMとの情報共有システムの開発、実証、シャープ(株)が3眼カメラ画像からの鉄筋の抽出、鉄筋の輪郭、径の中心を認識できるアルゴリズムの開発をそれぞれ担当しました。当社は今後、3眼カメラ配筋検査システムを全国の土木現場に水平展開し、配筋検査業を効率化することで、現場の働き方改革に結び付けていく考えです。

以上

≪参 考≫

配筋検査方法比較(左:システム利用、右:従来方法)
配筋検査方法比較(左:システム利用、右:従来方法)
検査結果の画面表示
検査結果の画面表示
検査結果とCIM比較(赤:検査結果)
検査結果とCIM比較(赤:検査結果)

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