建物に伝播する様々な環境振動の影響を評価

~環境振動評価システム~

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2019.08.06

清水建設(株)<社長 井上和幸>はこのほど、道路や鉄道、機械、設備機器等に起因する環境振動の影響を客観的に評価する「環境振動評価システム」を開発・実用化しました。設計者はこのシステムを利用することで、設計の初期段階において建物への環境振動の影響を容易に予測・評価することができ、それに基づき適切な設計を行うことができます。

環境振動の発生源は、建物の外部と内部に大別され、前者は道路や鉄道、地下鉄など、後者は空調等の各種設備機器、機械類、建物利用者の歩行や運動などです。通常、設計者は過去の事例や自身の経験をもとに建物に影響を及ぼす環境振動を想定・評価した上で、柱、梁、床などの構造部材を決定し、必要に応じて特別な防振対策を施します。しかし、検討には相当な時間を要し、手法や精度にばらつきがあるため、環境振動の客観的な評価システムが求められていました。

環境振動評価システムは、環境振動の発生源を容易に抽出できるチェックリスト、環境振動への対応の要否を解析・検討する3種類の検討ツール「固体音予測ツール」、「地盤振動解析ツール」、「床振動簡易解析ツール」から構成されます。「固体音予測ツール」は地下鉄から建物に伝搬する振動に起因する騒音、「地盤振動解析ツール」は道路や工場から地盤を伝搬する振動、「床振動簡易解析ツール」は建物の床振動を評価するツールです。

システム適用にあたっては、設計者はまずチェックリストに沿って、設計する建物の概要、内部の機器や設備に関する情報のほか、道路や鉄道、工場、あるいは設計する建物が逆に影響を及ぼす可能性がある病院、住宅といった周辺の施設情報を入力します。すると、当該建物における環境振動に関する検討課題がリストアップされるとともに、検討課題の解決に必要な検討ツールおよび、過去の案件の参考情報がイントラネットを通じて設計者に提供されます。

続いて設計者は、各ツールを用いて簡易解析モデルを構築し、当該建物に関わる環境振動の大きさを推定します。所要時間は半日程度です。その結果を踏まえて構造部材を決定し対策を施すことで、適切な建物性能を確保します。なお、システムでの評価の結果、詳細検討が必要と判断された場合には、別途、 解析を行い、対策を検討します。

当社は今後、環境振動評価システムを全社設計部門で有効活用し、より優れた品質の建築設計を追求します。

以上

≪参 考≫

評価フロー

環境振動評価システム評価フロー

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