清水建設-産総研 郡山市で水素エネルギー供給実証を開始

~ゼロエミッション・水素タウンを実現へ~

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2019.07.23

清水建設株式会社<社長 井上和幸>と国立研究開発法人産業技術総合研究所<理事長 中鉢良治>は共同開発した、建物付帯型の水素エネルギー利用システム「Hydro Q-BiC」を郡山市総合地方卸売市場内の管理棟(店舗部除く)に適用、本日運用を開始しました。本日現地では、運用開始を記念した式典が執り行われ、品川郡山市長をはじめとする来賓並びに両者の関係者約50名が出席しました。

この共同開発は、産業技術総合研究所の福島再生可能エネルギー研究所(FREA)を拠点とし、2016年1月に始動。約2年をかけ再生可能エネルギーを利用した効率的な水素製造技術、水素吸蔵合金による水素貯蔵・放出技術、清水建設が開発した建物のエネルギー管理システム(スマートBEMS)によるシステム全体の最適な運用技術を確立しました。このシステムを管理棟に適用し、日常的な運用を行うことで、CO2排出量の削減効果と維持管理費の定量評価を実施し、2020年度の実用化を目指します。

福島県では、2012年3月に改訂された福島県再生可能エネルギー推進ビジョンに基づき、2040年を目途に県内エネルギー需要量の100%を再生可能エネルギーで賄うという目標を掲げています。そこで、清水建設と産業技術総合研究所は、FREAが位置する郡山市にシステムの適用可能案件を照会し、管理棟への適用が決まったものです。

管理棟(床面積2,600m2)に適用するHydro Q-BiCは、総出力64.5kWの太陽光パネル、製造能力5Nm3/hの水素製造装置、水素貯蔵量80Nm3の水素貯蔵装置、出力3.5kWの燃料電池×4台、電力貯蔵量10kWhの蓄電池×2台から構成されています。これらの装置をスマートBEMSが一元的に監視・制御することで、最適なエネルギー利用が可能になります。

システムの運用にあたっては、6時‐18時に太陽光パネルで発電した電力のうち建物で直接使用できない余剰電力(最大30kW)を使用し、1時間に最大5Nm3の水素を製造・貯蔵。管理棟の電力使用ピーク時間帯の朝5時‐9時に水素を使った燃料電池からの発電と蓄電池からの放電により、最大34 kWの電力を太陽光パネルの発電に上乗せして管理棟に供給します。このシステムの導入により、管理棟のピーク電力を抑えつつ、CO2排出量を導入前と比較して約40%削減できる見込みです。

清水建設は今後、工場やホテル、病院に対して本システムを提案することで普及を推進し、建物の省エネルギー化やCO2排出量の削減に努める所存です。

以上

≪参 考≫

管理棟の概要

名 称 郡山市総合地方卸売市場内管理・関連店舗棟
所在地 郡山市大槻町字向原114番地
用 途 事務所、店舗等
規 模 延床面積4,310m2、建築面積2,490m2
竣工年 2001年
水素エネルギー利用システム「Hydro Q-BiC」とエネルギー供給先である管理棟
水素エネルギー利用システム「Hydro Q-BiC」とエネルギー供給先である管理棟

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