騒音を伴うトンネル内でも楽々コミュニケーション

~骨伝導ヘッドセットを開発~

  • 土木

2018.12.26

清水建設(株)<社長 井上和幸>はこのほど、トンネル施工の生産性・安全性の向上を目的に、京セラ(株)<社長 谷本秀夫>の協力を得て、トンネル内の騒音下においても、入坑者が防じんマスクや防音耳栓を着用したままの状態で円滑にコミュニケーションできる通話システム「骨伝導ヘッドセット(仮称)」の基本開発を終了しました。このシステムは、当社が推進している次世代型トンネル構築システム「シミズ スマート・トンネル」の技術開発の一環で開発したものです。長崎県内で当社が施工中の木場トンネル作業所において、プロトタイプの試作機を用いて実施したシステムの性能実証では、良好な結果が得られました。

トンネル現場では、粉じん作業があるため、防じんマスクの着用や騒音レベルによっては耳栓の着用が必要になります。しかし、こうした保護具の着用は坑内でのコミュニケーションの妨げにもなり、生産性の低下や事故の要因にもなりかねません。骨伝導ヘッドセットは、こうした課題を解決する通話システムです。

骨伝導ヘッドセットは、骨伝導スピーカー、骨伝導マイク、スピーカー・マイクと音声データを有線で送受信する無線接続アダプター、無線アダプターと音声データを送受信する超小型通信機器から構成されます。骨伝導スピーカーは音声の振動をこめかみ(骨)から聴覚神経に伝導させ、骨伝導マイクは声帯やこめかみの振動から音声を拾うので、通話時に保護具の脱着は不要です。もちろん、通話がトンネル内の騒音の影響を受けることはありません。操作方法はいたって簡単で、使用者がマスクを着用したまま通信相手の名前を声にするだけで、音声認識AIアプリが自動的に機能して単数あるいは複数の通話相手を選定し、自由に通話できます

今般、木場トンネルの切羽付近の騒音下で実施した実験では、防じんマスクと防音耳栓を使用した状態でも「極めてうるさい」と定義される90~95dB(電車が通過するときのガード下)レベルの騒音下でも明瞭な音質・音量で通話できました。

当社は引続き、骨伝導ヘッドセットの試作機を木場トンネルで供用し、使用者から抽出したニーズを開発に反映するとともに、京セラ(株)はバイタルサインセンシング機能付きのデバイスの提供も視野に入れ、来夏にも構成機器の機能を一つにパッケージ化した高性能で小型の製品版モデル機を完成させ2020年度の商品化を目指します。

以上

≪参 考≫

木場トンネルの工事概要

工事名称 九州新幹線(西九州)、木場トンネル他
工事場所 長崎県大村市
発 注 者 (独)鉄道建設・運輸施設整備支援機構
契約工期 2014年2月28日~2020年3月27日
概 要 トンネル延長2,885m 高さ 約7.7m 幅 9.5m

バイタルサインセンシング

心拍・脈拍・血圧・心電・血中酸素濃度などを各種センサーによって測定する技術。

骨伝導ヘッドの装置構成と着用状況

骨伝導ヘッドの装置構成と着用状況

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