2018.12.19
清水建設(株)<社長 井上和幸>は、当社が施工を手掛け、2019年初頭にオープンを迎える「ホテル祇園一琳(京都市東山区)」の外壁・内壁を構成する木目調打放しコンクリートの施工に、東洋アルミニウム(株)と共同開発した超撥水型枠「アート型枠」を適用しました。蓮の葉の表面機構を模した超撥水層を備えた杉板型枠により、美しい杉の木目が鮮明に転写された表層面積1,000m2超のコンクリート壁が打ち上がりました。
建設地の祇園町南側地区は、京都市により歴史的景観保全修景地区に指定されており、この地区での建築確認申請に際しては地域が有する歴史的な建築意匠に沿った意匠が求められます。そこで、ホテル祇園一琳では、「京都の街並みに溶け込みながらもラグジュアリーな空間が広がる」というコンセプトのもと、美しい見栄えの木目調コンクリートを採用することにより、鉄筋コンクリート造ながら和風建築を思わせる外観、エントランスホールなどを設えています。
木目調コンクリートは、杉板の木目をコンクリート表面に転写させることで高級感を演出する打放しコンクリートです。近年、そのニーズが増えているものの、杉板型枠を用いた打放しコンクリートの施工は難度が高く、コンクリート表面に多数の気泡痕が残ってしまうケースや、脱型時にコンクリート表面の一部が型枠に付着して剥離することが少なくありません。
そこで当社は、ホテル祇園一琳の施工にあたり、打放しコンクリートに関する課題を一挙に解決できる超撥水型枠「アート型枠」の採用を提案。その効果が発注者と設計者に認められ、同型枠が採用されました。この型枠は、水を著しくはじく蓮の葉の表面機構を模した微細な凹凸形状を型枠表面に付与したものです。コンクリート打込み時に型枠表面に巻き込まれた気泡は、その浮力を以て型枠面を滑るように上昇して型枠外に排出されるため、コンクリート表面に生じる気泡痕を大幅に減少します。また、超撥水層が型枠の離型性を高めるため、コンクリート表面の型枠への付着も防止できます。
ホテル祇園一琳では、アート型枠の採用により、外壁918m2、エントランスなどの内壁103m2がコンクリートでありながら木の質感にあふれる美しい見栄えの壁面に仕上がっています。一方、コスト増が懸念されましたが、増加した型枠製作費を脱型後の表面仕上げ工程の大幅削減により吸収し、トータルコストは同等以下に収まっています。
杉板を使用したアート型枠の適用実績は10件を超え、お客様からの引き合いも増えています。当社は今後、アート型枠の水平展開を図り、優れた美観を備えた打放しコンクリートの普及に努めていく考えです。
以上
≪参 考≫
「ホテル祇園一琳(ぎおんいちりん)」の工事概要
工事場所 | 京都市東山区祇園町南側570番地89 |
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建 築 主 | 木本製菓株式会社 |
設 計 者 | 株式会社 高松伸建築設計事務所(意匠) ソリッド株式会社(客室内装) 株式会社 北條建築構造研究所(構造) 株式会社 京滋設計(設備) |
施 工 者 | 清水建設株式会社 |
工 期 | 2017年3月~2018年7月 |
規 模 | 鉄筋コンクリート造 地下1階 地上4階 建築面積501m2、延床面積2,293m2 |
ホテル祇園一琳の木目調コンクリート外壁・内壁写真



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