3Dモデリングを活用したZEB提案シミュレーションツールを開発

~設計初期段階でZEBの省エネ性能を定量評価~

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2018.05.16

清水建設(株)<社長 井上和幸>はこのほど、3Dモデリングを活用して、発注者に提案するZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)の省エネルギー性能を効率的にシミュレーションするコンピュテーショナル・デザインツール「ZEB Visualizer」を開発・実用化しました。本ツールにより、設計初期段階で、ZEBの性能評価指標を迅速に算出できるようになり、複数のデザイン案を繰り返しシミュレーションしながら、ZEB提案を最適化していくことが可能になります。

建築物の省エネルギー化を推進していく上で、高度な省エネルギー性能を有するZEBの普及が期待されています。ZEBの性能は、国が定める建築物のエネルギー消費性能基準に基づいて評価され、基準建築物と設計建築物の一次エネルギー消費量の比率を示すBEI(Building Energy Index)が0.5以下の場合にZEBを達成したと判定されます。

BEIを算出する際には、国立研究開発法人建築研究所が提供する計算支援プログラム(WEBプログラム)を利用しますが、このプログラムでは、建物内の全ての室単位で、床面積や設置設備機器など実施設計レベルの詳細な条件入力が求められます。このため従来は、設計初期段階でZEBの性能を定量的に評価することは困難でした。そこで当社は、設計初期段階においてZEBの省エネルギー性能を迅速に評価するためのツールとしてZEB Visualizerを開発しました。

本ツールのベースとなるのは、設計初期段階の建築デザイン案からシミュレーション用3Dモデルを迅速に構築する3Dモデラーと、省エネ設計のノウハウを集約した設計ライブラリです。ライブラリには、建物用途別の外壁・屋根等の部材仕様、室用途別の空調・換気・照明・給湯設備、省エネルギー基準に準拠した建材や窓ガラスの物性データなどが整備されています。

シミュレーションの手順は、まず、設計者がBIMやCAD図面の設計データを3Dモデラーに入力し、計画建物の3Dモデルを立ち上げます。このモデルには、ライブラリデータから、外壁・屋根・床等の部位、部位に対応する部材や方位、室用途ごとにデフォルト設定された空調・換気・照明・給湯設備の仕様が自動設定されます。設計者は、このデフォルト仕様をベースに、設備機器仕様等を適宜変更することで、計画案のシミュレーションを行います。

計画案の省エネ性能を評価する際は、3Dモデルのデータから、BEI算出に用いるWEBプログラム用の入力データが自動生成されるため、短時間でBEI値を算出することが可能になります。また、BEIの計算結果からZEBチャートが自動作成されるため、一目でZEBの達成度合いを確認できます。

今後、ZEB化を目指す建物の提案検討に本ツールを活用し、発注者のニーズに即した最適なZEBの提供、ならびに、設計業務の生産性向上を図っていく考えです。

以上

≪参考≫

ZEB Visualizerのシステム構成

ZEB Visualizerのシステム構成

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