再生医療用の細胞培養管理システムを開発

~培養作業の進捗をタブレット端末で一元管理~

  • エンジニアリング

2017.06.26

清水建設(株)<社長 井上和幸>はこのほど、再生医療用の細胞加工・調製施設(CPF)における細胞培養作業の一連のプロセスを、タブレット端末を使用して一元管理できる細胞培養管理システムを開発しました。今後、技術研究所内に開設した細胞加工・調製施設「S-Cellラボ」等において、製薬会社や医療機関とも連携しながらシステムを運用することで、使い勝手のさらなる改良を図り、ハード・ソフト両面でユーザーニーズに応える再生医療施設エンジニアリングを展開していきます。

経済産業省の予測では、再生医療の市場規模は、国内で2020年に2千億円、30年には1.6兆円に急拡大し、海外を含めた市場規模はその10倍になるとされています。市場拡大に伴い、再生医療クリニックや細胞バンク施設、新薬研究開発施設等に設置するCPFの建設需要も増大傾向にあります。

CPFの細胞培養作業では、製品の種類ごとに設定されている検体・資材の入荷、細胞の解凍、播種、培養、観察、評価、継代、凍結、保存、出荷といった培養手順の一連のプロセスを確実に順守・管理することが求められます。一方、これらのプロセス管理には、紙の指図書や記録用紙を利用するケースが多く、高い清浄度が求められる培養施設に紙を持ち込めば、清浄環境に悪影響を与えることになります。また、培養する個体数が増えると、検体や試薬の取り違いが生じるリスクが高まります。そこで当社は、ペーパーレスで一連の培養プロセスを着実に管理できる細胞培養管理システムを開発しました。

本システムのデータベースには、細胞培養の作業計画や入出荷管理の入力フォーマットがあらかじめ準備されており、新規に導入する際のカスタマイズは、事業所ごとに異なる承認手順等をデータベースに反映する程度です。入出荷管理にはQRコードを活用し、入荷時に、検体の種類や入荷日、出荷元等の所定のデータを端末から入力してQRコードラベルを作成します。検体容器や試薬容器にQRコードを貼り付け、作業時にコード情報を読み取ることで、検体や試薬の取り違いを防止します。

培養作業のプロセス管理はタブレット端末で行います。具体的には、オペレーターがCPFに入室した後、タブレット画面上で製品の種類を選定すると、端末にその日に実施する作業指図が表示され、それに従って、使用する検体や試薬を取り出し、QRコードを照合した後に作業を開始します。各作業の実施記録は、タブレット画面で該当するボタンをタッチするだけで、時刻歴とともに自動的に作成・保存されるため、オペレーターは確実に作業手順を順守できます。また、CPF内の温湿度や清浄度、各種ガス濃度などの計測データを実施記録と併せて保存することで、細胞状態が急変した際の原因究明に役立てることも可能です。

なお、6月28日から30日までの3日間、東京ビッグサイトで開催される医薬品研究・製造技術展「第30回 インターフェックス ジャパン」に、本システムのデモ機を展示します。

以上

≪参 考≫

細胞培養管理システムのタブレット画面

ニュースリリースに記載している情報は、発表日現在のものです。ご覧になった時点で内容が変更になっている可能性がございますので、あらかじめご了承ください。ご不明な場合は、お問い合わせください。