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コンクリート構造物の万能薬・タフネスコートがいよいよ普及段階へ

~タフネスコートの諸性能を全検証~

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2017.5.22

清水建設(株)と三井化学産資(株)はこのほど、コンクリート構造物の表面に薄く被覆する樹脂により、コンクリート構造物の耐久性を飛躍的に向上させる技術「タフネスコート」について、その保水性能と塩害・凍害防止性能を新たに検証しました。既に検証済みの耐衝撃性能、剥落防止性能と併せると、コンクリート構造物の耐久性を向上させるあらゆる工事に対応できることが検証されたことになります。

タフネスコートは、清水建設(株)と三井化学産資(株)が2012年に共同開発した技術です。コンクリート構造物を被覆する樹脂はポリウレアで、強度24N/mm2、伸び性能200%という素材特性があり、施工は構造物の表面に吹き付けるだけで済みます。構造物の耐久性を向上させる工法は数多く開発されていますが、タフネスコートに代替することにより、工費を同等以下に抑えた上で工期を40~70%短縮できます。

今回の保水性能の検証は、上水道用配水池や防火水槽等の維持・保全工事への適用を想定したものです。これらの構造物の多くは築40~50年が経過しており、大地震発生時に構造体に亀裂が発生し、保水できなくなることが懸念されています。一方、塩害・凍害防止性能の検証は、寒冷地や臨海部に位置する各種インフラの維持・保全工事への適用を想定。寒冷地では凍結・融解に伴う膨張・収縮や凍結防止・融雪に用いる塩化化合物(ナトリウム、カルシウム等)により、また臨海部では海水中の塩分により、コンクリート構造物がいち早く劣化します。

保水性能の検証にあたっては、まず、鉄筋コンクリート製の試験体(70mm×70mm×35mm)を2体作成して双方の縁を接合させた後、2mmの被覆厚になるようにポリウレアを吹き付けました。実験では、接合部を引き離す力を加えて試験体間に2~10mmの隙間(亀裂)を発生させましたが、一週間経過してもポリウレアには漏水の原因になる破断は一切確認されませんでした。

塩害防止性能の検証では、内径40mm、長さ200mmの筒状容器を作成し厚さ1mmのポリウレア樹脂で中央部を間仕切り、片方の区画を蒸留水、もう一方を3%食塩水で満たし、塩化物イオンの透過量測定を9か月にわたって実施しました。その結果、コンクリート構造物への塩化物イオンの浸潤量が塩害対策指針(案)に示された基準値(1.0×10-2~3mg/cm2・日)の1/50~1/500になることが確認されました。この値から具体的な塩害防止性能を予測すると、無被覆の場合、10年経過時点で塩化物イオンがコンクリート構造物中の鉄筋(コンクリート被り厚5cm)に到達し発錆限界を(塩化物イオン量1.2kg/m3)超えるのに対して、1mm被覆の場合、100年経過時点でも鉄筋に到達しないということになります。

凍害防止性能の検証では、100mm×100mm×400mmの試験体を2体作成し、1体にポリウレアを1mm厚で被覆。凍結と融解を繰り返す試験を実施した結果、無被覆の場合、420回繰り返した時点でコンクリートの固さを表す相対動弾性係数が所定の設計基準値(当初値の90%)を下回りましたが、1mm被覆の試験体には変化がみられませんでした。

コンクリートの製造量は日本国内だけでも年間1億m3近くに達し、その多くがインフラ整備に使用され、ストック量は100億m3とも言われています。世界的な統計はないものの、莫大な量のコンクリート構造物が存在することは明らかであり、タフネスコートの市場性は無限大と言えます。清水建設(株)と三井化学産資(株)は今後、コンクリート構造物の耐久性を向上させるタフネスコートの諸性能と超短工期・ローコストという施工上のメリットを訴え、本技術の本格的な普及を目指します。

以上

タフネスコートの吹付状況

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