埋め立て処理された石炭灰(エージング灰)を再生資材化

~未利用の発電副産物を活用し、震災復興事業の資材需要に対応~

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2017.03.16

清水建設(株)<社長 井上和幸>は、恵和興業(株)、東北電力(株)と共同で、東北地方の震災復興事業への貢献を視野に、石炭火力発電所から発生する石炭灰(新生灰)のうち、処分場に埋め立てられた石炭灰(エージング灰)のリサイクル技術を開発しました。本技術は、エージング灰にセメントと水を混合し、砂粒状のリサイクル資材を製造するものです。このリサイクル資材は、路盤材、盛土材に求められる品質管理基準・規格値をクリアし、土壌汚染対策法に基づく特定有害物質の溶出量検査・含有量検査においても同法の基準を満たしています。

東日本大震災以降、石炭火力発電所の発電量が増加し、これに比例して石炭灰の発生量も増加しています。石炭灰はセメント原料や海面埋立資材として有効利用されているものの、エージング灰の発生量は増加傾向にあり、その活用策が求められています。一方、東北地方の震災復興事業では、防潮堤や防波堤の築造、道路の新設や嵩上などに多量の地盤材料が必要とされています。当社はこうした状況を踏まえ、エージング灰を用いた復興資材の製造に向け、エージング灰の性状調査や資材化に向けた環境適合性評価を進めてきました。

このほど開発した再生資材化技術は、当社と恵和興業が、宮城県南三陸町の災害廃棄物処理業務で実用化した災害廃棄物のリサイクル技術をベースに構築したものです。同業務で培ったリサイクル造粒材の製造ノウハウを基に、処分場で湿潤化したエージング灰の含水率等を踏まえた、セメント・水の最適な配合設計手法を確立しました。

湿潤化されたエージング灰は、原料炭の産炭地や発電所の運転条件などにより性状が変動する新生灰と比べて、性状が安定しています。ストックも大量にあるため、需要量に応じた安定供給が期待できます。今後、復興事業での活用を目指し、エージング灰を用いたリサイクル資材の採用を、自治体、省庁など関係機関に提案していく考えです。

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