ディープラーニングで建物の電力需要を高精度予測

~AIで電力関連事業の収支改善へ~

  • 建築
  • 省エネ
  • 環境

2017.02.10

清水建設(株)<社長 井上和幸>はこのほど、中部大学工学部情報工学科(山下研究室)の協力を得て、電力小売やESCOといった電力関連事業の一層の収支改善と施設のエネルギー運用の一層の効率化を目的に、AI技術の活用により建物の電力需要を高精度予測するシステムを開発しました。開発にあたっては、中部大学(愛知県春日井市)の施設群、全57棟について、過去4年間における日々の電力の需要と気象データ、設備・施設利用状況等の関係をディープラーニングの手法によりシステムに学習させ、高精度予測のためのデータベースを構築しました。

施設・地域レベルのエネルギーマネジメントや電力小売、ESCOなどの電力関連事業においては、建物の電力需要を精度高く予測することが求められます。電力需要の過小予測は、割高な市場電力の購入増に繋がる一方、過大予測は市場電力の恒常的な過剰購入となることが大きな理由です。

一方、当社と中部大学は東日本大震災で得た教訓を踏まえ、2012年7月から5年にわたり、同大学の施設群を対象に、電力需要の経時変化を予測し、それを抑制するスマートグリッド・システムの構築に共同で取り組んできました。このため、同施設群については、個々の施設の日々の電力需要はもとより、気象、設備・施設の利用状況等に関する膨大なデータがストックされています。

そこで当社は、こうしたデータの関係を最新のAI技術であるディープラーニングにより学習させることが電力需要予測を一層高精度化すると考え、電力需要のビッグデータ解析に取り組みました。具体的には、過去4年分の実際の気象、設備・施設の利用状況と電力需要の関係をAIに学習させ、そのうえで、直近1年分の日々の気象予測データや設備・施設の利用予定データから翌日のピーク電力需要を予測させました。その結果、AIによる予測誤差は従来システムから3.6ポイント改善し、5.7%となりました。

今回のデータベースの構築にあたっては、ピーク電力需要の予測にとどめましたが、理論的には電力需要の経時変化の予測が可能です。当社は今後、AIの内部構造や入力する学習データを精査することで予測精度を一層高めていく考えです。

以上

ニュースリリースに記載している情報は、発表日現在のものです。ご覧になった時点で内容が変更になっている可能性がございますので、あらかじめご了承ください。ご不明な場合は、お問い合わせください。