環境負荷の少ない解体工法「シミズ・クールカット」を本格適用

~富士重工業(株)群馬製作所西本館をブロック切断解体~

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2016.11.24

清水建設(株)<社長 井上和幸>はこのほど、富士重工業(株)群馬製作所西本館(群馬県太田市)の解体工事において、当社が開発した環境負荷の少ない解体工法「シミズ・クールカット」を本格適用した解体作業に着手しました。シミズ・クールカットは鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)造や鉄筋コンクリート(RC)造の解体向けに開発した工法で、建物の部位を適度な大きさのブロックに切断解体していくことが大きな特徴です。核となる解体装置は柱・梁を切断するアタッチメントの「クールカット」で、油圧ショベルのアーム先端で稼働します。(株)コンセックとの共同開発により実用化したものです。

富士重工業(株)群馬製作所西本館は、東武鉄道太田駅北側に位置し、自動車や人の往来が多い国道407号線と県道2号線に面した中規模ビルで、老朽化が進んでいました。西本館の建て替え工事の受注に際し、富士重工業(株)から解体工事に伴う周辺環境への負荷を最小限にとどめる工法提案を求められたことから、当社はシミズ・クールカットを提案。同社より環境負荷低減に対する本工法の有効性が認められ、採用に至ったものです。西本館は旧館、新館の2棟からなり、構造はいずれもRC造(新館は一部SRC造)、規模は旧館が地上5階、新館が地上6階、延床面積はそれぞれ5,113m2、5,823m2です。

解体工事に投入する切断機器は、柱・梁を切断するクールカットが1機、壁を切断するウォールソーが2機、床版を切断する道路カッターが2機、複合部材を切断するワイヤーソーが2機となります。計画では、トラックによる切断部材の搬出を考慮して、1ブロックが約8tになるように切断していきます。基準階ワンフロアの場合、各切断部材数は、大梁120、柱60、床版140、壁70、外装(ALC版、PC版)80となります。切断部材は、仮置きすることなく、直接、トラックに搭載して場外搬出します。

シミズ・クールカットが今回の解体工事にもたらす具体的なメリットは次の通りです。環境面では、まず、解体に伴う振動がほぼゼロとなります。また、15m離れた敷地境界まで伝搬する騒音は大型破砕機による従来の解体工法の3/4程度(85dB→63dB)となり、交通騒音によって打ち消されます。粉じん量は従来工法の90%以下となり、隣接する新西本館外装等の清掃作業も大幅に軽減されます。コストについては、こうしたメリットを考慮せずに単純比較しても、シミズ・クールカットがやや割高になる程度です。仮に、従来工法を採用しつつ同様のメリットを享受するには、膨大な仮設が必要になり解体費用が概ね50~70%程度アップすることになります。なお、工期については、今回の工事規模の場合は従来工法と同程度となります。

当社は、今回の解体工事での実績を踏まえ、引続き、シミズ・クールカット解体工法の提案を積極的に展開し、案件受注に結びつけていく考えです。

以上

≪参 考≫

1. アタッチメント・クールカット

ワイヤーソーの巻きつけが不要な押切り型ワイヤー切断方式を採用。アタッチメントには、柱・梁の切断機能、切断部位の把持機能、駆動機能、ワイヤーの過熱・摩耗を防止する冷却機能、各種センシング機能を集約。切断作業においては、まず専用のサポート治具で切断部位を保持。次にオペレーターが油圧ショベルを操作してアタッチメントのワイヤーソーを切断部位に押し付け、その後、操縦室内のタッチパネル操作により、切断部位を把持しながら切断。最後に切断部位をクレーンで吊り、切断部位を撤去する。

2. 解体工事の概要

  • 工事名称富士重工業株式会社群馬製作所西本館建替えに伴う解体工事
  • 工事場所群馬県太田市スバル町1-1他
  • 発注富士重工業株式会社
  • 施工清水建設株式会社
  • 工期2016年7月~2017年3月
  • 解体建物
    • 名称【旧館】
    • 規模地上5階、塔屋1階
    • 建築面積1,085.47m2
    • 延床面積5,113.87m2
    • 築年昭和44年(築47年)
    • 構造RC造
    • 名称【新館】
    • 規模地上6階、塔屋2階
    • 建築面積1,136.67m2
    • 延床面積5,823.13m2
    • 築年昭和54年(築37年)
    • 構造RC造(一部SRC造)

3. シミズ・クールカットにより整然と進む解体工事

大梁切断作業中のクールカット
すべての部位が切断解体されている様子がわかる

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