病室内の不快な臭いをいち早くキャッチし、換気で解消

~半導体センサーを組み込んだ臭気制御システム「スメルケア」~

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2016.04.21

清水建設(株)<社長 井上和幸>はセンシング機器メーカーの新コスモス電機(株)<社長 重盛徹志>と共同でこのほど、病室内の快適性の向上を目的に、臭気等を高感度に感知する半導体センサーを取り入れた病室向けの臭気制御システム「スメルケア」を開発しました。共同開発に当たっては、当社がセンサーの仕様設定、性能・耐久試験、換気制御系技術の開発・システム化、新コスモス電機(株)が半導体センサーの設計・製造を担当しました。

通常、病室においては、天井に設けられた排気口からダクト、排気ファンを介して室内の空気が屋外に排出されるとともに、天井に設けられた給気口から外気が供給され、常時、換気がなされています。ただ、オムツ交換や食事に伴う臭気対策は、機械的換気ではなく、空調効果を低下させる窓開け換気に主に頼っています。薬剤処理や臭気分解性能を備えた内装材、空気清浄機で対応することも可能ですが、臭気が拡散した後の対策は効果的ではありません。そこで、新開発のスメルケアは、半導体センサーにより臭気を拡散前に迅速に感知し、即時に臭気濃度に合わせて給排気ファンを制御します。このシステムを適用する病室では、排気口は各ベッド真上の天井に、給気口は病室中央部の天井に設けます。

このシステムは、半導体センサーを内蔵した70mm×120mm×65mmのボックス型の制御ユニットに集約されています。半導体センサーは、臭気分子の酸化還元反応を利用して臭気をセンシングします。臭気分子を構成する還元性ガスは、半導体表面の酸素イオンに接すると還元反応でイオンを除去して、半導体表面の電気抵抗値を低下させます。制御ユニットは、電気抵抗値の変化から臭気を感知し、抵抗値を給排気ファンの制御信号に変換します。制御信号が中央監視システムを介して各病室天井内の給排気ファンの制御システムに送信されると、即時に換気レベル(換気回数=外気導入量)がアップされる仕組みになっています。

制御ユニットの設置場所と個数は、複数の排気ダクトを集約する排気チャンバーが天井内に設置されている場合にはチャンバー内に1台、各ダクトが独立して排気ファンに連結されている場合はベッドの脇に各1台となります。性能については、エタノールを臭気(模擬ガス)として使用した実証実験により検証しています。例えば、病室内のエタノールの空間濃度を嗅覚閾(きゅうかくいき)以上に高めた後、換気レベルを通常よりも高い3回/時間にアップすると、わずか10分足らずで空間濃度が人間が気にならないレベルに減衰されるという結果を得ています。システム導入時には、発注者と協議のうえ目標とする減衰時間を設定して換気レベル等をカスタマイズします。

導入費用は、天井内に排気チャンバーが設置されている新築の場合で約50万円/1室(制御ユニット1台、工事費込)となります。改修工事の場合は、既存天井材の一時撤去、復旧費用などが加算されます。

1時間に室内の空気が3回入れ替わる換気量

以上

≪参 考≫

1.新コスモス電機(株)の概要

  • 所在地大阪市淀川区三津屋中2-5-4
  • 設立1960年(昭和35年)6月15日
  • 社長重盛 徹志
  • 資本金14億6,000万円(払込済)
  • 事業内容家庭用ガス警報器、携帯用ガス検知器、工業用ガス検知警報器、 火災警報器、ニオイセンサ等製品の研究、開発、製造、販売。

2.スメルケアのシステム概念図

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