米国ニューヨーク州で省エネルギービル実証を開始

~日本の省エネ・創エネ技術を導入し、消費電力半減目指す~

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2016.03.23

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
清水建設株式会社
Shimizu North America LLC

NEDOと清水建設(株)、Shimizu North America LLCは、ニューヨーク州立工科大学(SUNY Poly)と共同で、2015年に完成したSUNY Poly内のZEN (Zero Energy Nanotechnology) ビルへの省エネルギー実証技術の導入を完了し、3月22日、ZEB実現に向けた実証試験を開始しました。本事業では、日本の省エネ・創エネ技術を導入し、標準的ビルと比較して、消費電力の半減を目指します。

以上

今回実証運転を開始したZENビル

≪参 考≫

1.概要

米国エネルギー省(United States Department of Energy)は、2030年までに全ての新築業務ビル、2050年までに全ての業務ビルの正味エネルギー使用量をゼロにする「Net-Zero Energy Commercial Building Initiative」を発表しており、今後大きな省エネルギー市場が確立することが見込まれています。

また、2009年11月には日米間で日米クリーンエネルギー行動計画が合意され、省エネルギービル分野における日米共同の実証事業について検討を進めることが掲げられています。このような背景のもと、2013年9月16日、NEDOは、ニューヨーク州立工科大学(SUNY Poly)と共同で、省エネルギービルの実証事業を共同で進めていく基本協定書(MOA)を締結し、これまでSUNY Polyが2015年に建設したZEN(Zero Energy Nanotechnology)ビルに対して、ZEB※1実現に向けた技術や機器、システム構築の検討を進めてきました。

今般、NEDOと清水建設(株)、Shimizu North America LLCは、SUNY PolyのZENビルにおける省エネルギービル実証技術の導入を完了させ、ZEB実現に向けた実証試験を開始しました。

本実証事業では、NEDOの委託先である清水建設(株)とShimizu North America LLCが、SUNY Poly の建設したZENビルにシミズ・スマートBEMS※2、RFIDを用いた位置情報システム※3、グラデーションブラインド※4、燃料電池システム、太陽光発電システムなどの日本技術を組み込んで、自然と人間の行動に合わせた照明制御など日本が優位性を持つきめ細やかな制御技術を活用したZEBの実証をSUNY Polyと共同で行います。これらの取り組みにより、標準的なビルの理論上の消費電力に対し、約54%に相当する省エネ・創エネ効果を目指します。

また今後、米国における日本の省エネ・創エネ技術の普及を図るとともに、欧州やアジアなどへの世界展開を促進することを目指します。

図 ZENビルに導入した機器

2.運転開始式について

3月22日(現地時間)に、SUNY PolyのZENビルにて運転開始式を行いました。式典には、NEDOの土屋宗彦理事、清水建設(株)の中元和雄常務執行役員、Shimizu North America LLCの吉儀猛雄社長、ニューヨーク州エネルギー研究・開発局のデビッド・マーガリットCOO、在ニューヨーク日本国総領事館の阿部康次首席領事、SUNY Polyアントレプレナーシップ・イノベーションとクリーン・エネルギー・プログラム担当副理事長のハルダー教授らが出席しました。

【用語解説】

※1 ZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)
Net Zero Energy Buildingの略で、建築構造や設備の省エネルギー、再生可能エネルギー・未利用エネルギーの活用、地域内でのエネルギーの面的(相互)利用などの対策をうまく組み合わせることにより、エネルギーを自給自足し、化石燃料などから得られるエネルギー消費量がゼロ、あるいは、概ねゼロ、となる建築物のことをいいます。
※2 シミズ・スマートBEMS(ビル・エネルギー・マネジメント・システム)
清水建設が開発した、設備や環境を統合的に監視・制御するシステム。
空調や照明などの負荷設備と太陽光発電やコージェネなどの創エネルギー設備を機器特性や状況に応じて制御することで、省エネやピークカットを実現します。
本事業では、太陽光発電や燃料電池の監視、建物側中央監視と連動した照明制御やブラインド制御を行います。
※3 RFIDを用いた位置情報システム
アクティブ型RFIDタグを用いた、施設内における人の位置情報取得・応用システム。
施設内ゾーン毎の人の在不在や人数などを取得でき、設備制御や施設の使われ方の分析に活用します。
本事業では、ゾーン毎の在室者・人数をリアルタイムに検出し、照明の点滅制御を行います。また、ファシリティマネジメント向けに、滞在履歴情報などを施設利用者に提供します。
※4 グラデーションブラインド
清水建設と立川ブラインド工業、トーソーが共同で開発した、自然光を屋内に採り入れ照明に用いるシステム。季節・時刻・天候によって変化する太陽高度や日射の影響に応じてブラインドの羽根の角度を制御し、天井間接光として自然光を採り入れ照明負荷を下げる、あるいは熱流入を低減し空調負荷を下げることで省エネを図ります。

3.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)
NEDO 省エネルギー部 担当:米津、沼田 TEL:044-520-5284
NEDO 国際部 担当:石川、岡田 TEL:044-520-5190
清水建設(株) 国際支店営業部 担当:中山 TEL:03-3561-1111
Shimizu North America LLC 総務部 担当:小野寺 TEL:+1-770-956-1123
(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)
NEDO 広報部 担当:髙津佐、坂本、佐藤
TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp

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