特定天井対応のローコスト・短工期の耐震天井構工法を開発

~ブレースを天井ボードに直接固定する「リニアブレース」~

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  • 耐震

2016.03.07

清水建設(株)<社長 宮本洋一>はこのほど、特定天井対応のローコスト・短工期の新たな耐震天井構工法「リニアブレース」を開発しました。本構工法の特徴は、斜め部材(ブレース)で躯体と天井ボードを直接連結することです。これにより、特定天井に求められる建物の揺れと共振しにくい剛性の高い吊り天井を構築します。本構工法の構造安全性は、国土交通省が規定する簡易スペクトル法に基づく構造計算により検証しています。その妥当性について、簡易スペクトル法としては初となる一般評定を日本建築センターから取得しています。当社は今後、本構工法を特定天井の標準仕様に位置づけ、設計施工案件を中心に適用を進めていく考えです。

特定天井とは、脱落によって重大な危害を生じるおそれがある天井を意味し、人が日常立ち入る場所に設置されている吊り天井のうち、高さが6m超の天井部分の水平投影面積が200m2を超えるもの、かつ、天井面構成部材等の単位面積重量が2kg/m2を超えるものと定義されています。建築物に特定天井を設ける場合には、適切なブレースの配置や、天井周囲のクリアランスの確保など、国土交通省が定める技術基準(告示第771号)に基づき、構造耐力上の安全性を担保することが求められます。

告示第771号の技術基準を満たす特定天井対応の吊り天井を天井メーカーが開発していますが、ブレース密度が高過ぎ、かつ、コストも一般の吊り天井の7倍程度となり、実用的ではありません。このため、特定天井に該当する規模の天井を設計する場合、吊り天井に代えて、躯体と緊結した鉄骨下地に天井ボードを直貼りする「ぶどう棚天井」を採用するケースが多くありました。ただ、ぶどう棚天井は、一般の吊り天井の10倍以上のコストがかかり、かつ、工期も2倍以上になるケースもあります。そこで当社は、実用的なブレース密度を確保し、一般の吊り天井の2~3倍程度のコストと、同程度の工期を実現する特定天井対応の耐震天井構工法・リニアブレースを開発しました。

リニアブレースは、専用の固定金物を介して、ブレース材の上端と下端をそれぞれ構造躯体と天井ボードに固定し、吊り天井の剛性を高める耐震天井構工法です。具体的には、天井ボードにビス留めした下端部固定金物を起点に2本のブレースをV字状に設置し、ブレース上端の固定金物を上階スラブなどの支持構造部にアンカーやボルトで接合します。この耐震ブレースを天井面積20~25m2に一対の割合で配置することで、特定天井に求められる耐震性能を確保できます。また、剛性が極めて高いため、告示が定める仕様基準で60mm以上と規定されている天井周囲のクリアランスを、10~20mm程度で設計することも可能です。これにより、天井内部の気密性が高まり、省エネルギーや天井裏からの塵埃の飛散防止、音楽ホール等の音響性能の向上といったメリットが得られます。

リニアブレースの開発に当たっては、ブレース固定金物の開発・製作についてエヌパット(株)(上端部)と(株)能重製作所(下端部)、施工方法の検討等について当社子会社の(株)ミルックスの協力を得ました。

以上

≪参 考≫

1.開発協力先の概要

エヌパット(株)
  • 本社大阪市港区海岸通4-4-10
  • 社長生野 真
  • 資本金1,000万円
  • 創業平成3年
  • 事業概要各種アンカー、インサート、鉄筋加工品、型枠用特殊金具等の製造販売・耐震診断及び調査業務など
(株)能重製作所
  • 本社東京都墨田区業平4-7-5
  • 社長能重 彰彦
  • 資本金3,000万円
  • 創業昭和41年
  • 事業概要鋼製下地用特殊金物・システム天井用特殊金物の製造販売、 金属製品の企画・開発・製造など
(株)ミルックス
  • 本社東京都中央区日本橋3-12-2
  • 社長松井 啓治
  • 資本金3億7,200万円
  • 創業昭和21年
  • 事業概要建設業、保険業、旅行代理店、警備業、一般労働者派遣業など

2.リニアブレースのブレース設置イメージ

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