2016.03.03
清水建設(株)<社長 宮本洋一>の施工により、大阪市中央公会堂(通称:中之島公会堂)において、当初の設計仕様を満たしていない東洋ゴム工業(株)製免震装置の交換作業が始まりました。交換作業の期間は2月29日から3月15日までで、計16基を交換します。当社が考案した「免震装置交換工事用の免震機構」により、工事期間中も建物の耐震安全性を確保できることから、中央公会堂及びレストランは通常通り利用されています。工事終了後の耐震性能については、一般財団法人日本建築センターの評定により、当初の構造設計仕様を満足することが確認されています。
大阪市中央公会堂は、鉄骨煉瓦造設計の大家である辰野金吾・片岡安の両氏の実施設計、清水組(清水建設の前身)の施工により、1918年(大正7年)に完成。80年の時を経て、1999年(平成11年)3月から2002年(同14年)9月末まで保存・再生工事が行われ、その際、免震レトロフィット(免震化)により耐震補強されました。
設置した計62基の免震装置のうち、建物中央部に位置する16基に東洋ゴム工業(株)製の高減衰積層ゴム(径800mm、高さ437mm、重量1.6t)が採用されていました。国土交通省の指示による、当該積層ゴムの実際の免震性能を反映した建物の構造解析の結果によると、大地震に遭遇しても建物が構造的な被害を受ける可能性はないものの、同社製免震ゴムが免震レトロフィット計画時の設計仕様を満たしていないため、大阪市は当該免震装置の交換を決定し、昨年11月に交換工事に着手しました。
具体的な交換方法は、まず、免震層(装置設置階)に192台のジャッキを設置した後、免震装置と建物躯体を緊結するボルトを緩めて、重量約31,200tの建物全体を9mmジャッキアップ。続いて、建物躯体と免震装置の間に生じるスペースを利用して、既設装置の撤去と代替装置の据え付け作業を1基ずつ行います。交換工事期間中の耐震安全性については、国土交通省の通知「免震材料の交換改修工事中の建築物の安全性のガイドライン」に基づき、当社が考案した「免震装置交換工事用の免震機構」により確保しています。
工事の主な経過は、2月24日に実施した建物のジャッキアップを経て、2月29日に交換作業を開始、3月2日までに5基を交換済みです。残り11基の交換は3月15日までに終了する予定です。
以上
≪参 考≫
1.免震装置交換工事用の免震機構
ジャッキの下面と建物躯体の間にすべり支承などを介在させることで、地震時に免震装置の変形にジャッキが追従し、免震を機能させる機構です。
免震装置と建物躯体を緊結するボルトを緩めた状態でも所定の免震機能を発揮することを実証実験で検証しています。


2.大阪市中央公会堂の概要
- 建設地大阪市北区中之島1丁目1-27
- 規模・構造地下2階、地上3階、
建築面積2,330m2、延床面積9,886m2
鉄骨煉瓦造、鉄筋コンクリート造、免震構造 - 実施設計辰野金吾・片岡安
- 施工清水組(現清水建設)
- 竣工1918(大正7)年
- 備考
<保存・再生工事>
- 工期1999年3月~2002年9月
- 設計大阪市都市整備局営繕部、坂倉・平田・青山
・新日設設計JV - 建築施工清水建設・西松建設・大鉄工業JV
<免震装置交換工事>
- 工期2015年11月~2016年5月
- 設計(株)坂倉建築研究所、(株)平田建築構造研究所
- 施工清水建設(株)
3.免震装置交換作業の状況






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