建物付帯型の水素エネルギー利用システムの開発に着手

清水建設（株）＜社長 宮本洋一＞はこのほど、水素社会の早期実現に向けて、国立研究開発法人産業技術総合研究所＜理事長 中鉢良治＞との共同研究として、施設内で使用する太陽光などの再生可能エネルギーの余剰電力を水素に代替して貯蔵し、必要に応じて放出・発電する水素エネルギー利用システムの研究開発に着手しました。

水素は、CO₂を排出しないクリーンなエネルギー源であり、種々のエネルギーから容易に製造できることから、将来の二次エネルギーの中心的役割を担うことが期待されます。そこで、今回の共同研究では、水素を利用して再生可能エネルギーを効率よく貯蔵・利用でき、かつ水素社会に対応できる建物付帯型のコンパクトで安全な水素エネルギー利用システムの開発に取り組みます。共同研究期間は2年間の予定で、今後、産業技術総合研究所の福島再生可能エネルギー研究所（FREA）を拠点に研究活動を推進します。

水素エネルギー利用システムとは、余剰電力で水を電気分解して水素を製造、水素吸蔵合金により水素を貯蔵、必要の都度、水素を放出させて酸素との化学反応により電気と熱を取り出すものです。水素貯蔵については、産業技術総合研究所が知見を蓄積してきた水素吸蔵合金をベースに合金材料や配合比の最適化を図り、最大で体積の1千倍の水素を吸蔵するという合金の特性を最大限活かし、コンパクトかつ安全な貯蔵手段を確立します。そのうえで、当社が開発したスマートBEMSにより、再生可能エネルギーの発電状況と建物の電力・熱需要を勘案して、水素の製造、貯蔵、放出等を制御する技術を確立します。

計画では、約2億5千万円を投じて、2016年秋までに産業技術総合研究所の福島再生可能エネルギー研究所内に実証システムを構築し、2018年3月まで実証運転を行います。その後、実証運転で得た各種データをフィードバックしてスマートBEMS制御の水素エネルギー利用システムを完成させ、2020年までに建物、街区への導入を目指します。