タブレット端末を利用した「地下埋設物可視化システム」を開発

~地下の“見える化”により、確認作業の正確性・効率性を向上~

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2016.03.15

清水建設(株)<社長 宮本洋一>はこのほど、(株)菱友システムズ<社長 和仁正文>、茨城工業高等専門学校の岡本修准教授と共同で、地下掘削工事によるライフラインの損傷防止を目的に、タブレット端末上で地下埋設物を現地の風景画像に投影して“見える化”する「地下埋設物可視化システム」を開発・実用化しました。本システムにより、地下埋設物の存在や位置情報を把握できるため、安心して効率良く地下掘削工事を進めることができます。

開削工事や立坑工事など地下掘削を伴う工事では、上下水道管やガス管、送電ケーブル、電話線など、地下に埋設されたライフラインを損傷しないよう、それらの位置を事前に把握しておく必要があります。これまでは、地下埋設物の位置情報が記載された紙の図面を見ながら、現地で確認作業を行っていました。しかし、埋設物の敷設状況は直接視認できないため、見落とし等のミスが生じる可能性もあり、確認作業の正確性・効率性の向上が課題となっていました。

今回開発した地下埋設物可視化システムは、タブレット端末、可視化用アプリケーション、GNSS(Global Navigation Satellite System)位置検知システム、緯度・経度情報を付与した地下埋設物図面のクラウドデータベースで構成されます。本システムでは、GNSS位置検知システムで検知した操作担当者の精緻な位置情報を基に、その周辺に存在する埋設物の図面データをデータベースから抽出し、現地の風景画像に重ね合わせて表示することで、埋設物の存在や位置を可視化します。

具体的には、現場の操作担当者がタブレット端末とGNSSアンテナ・受信機を携行して現場に向かうと、まず、周辺に存在する地下埋設物のリストがタブレット端末に自動表示されます。操作担当者が確認したい埋設物を選択すると当該図面が表示され、続いて、タブレット端末から掘削工事を行う地表面を眺めると、直下に敷設された埋設物のラインが浮き上がるように地表面の画像上に投影されます。本システムは、タブレット端末を使用する位置や端末を保持する角度等に応じて、地表面のライブ画像に埋設物の敷設ラインが自動的に追随して表示されるため、使い勝手が良く、誰にでも手軽に利用できます。

GNSS 位置検知システムは、現場事務所等に設ける「基準局」、操作担当者が携行する「移動局」の2局のGNSS アンテナ・受信機を利用し、基準局の測位データをタブレット端末で常時受信しながら、移動局の測位データを補正することで、操作担当者の現在位置を数センチメートルの誤差で検出します。また、基準局では複数の移動局を同時に管理できるため、基準局を他現場と共有することも可能です。

本システムの開発に当たっては、当社が全体計画、スペック作成・照査、フィールド実証、菱友システムズがシステム設計・構築を担当した他、岡本准教授から、GNSS 位置検知システムの構築に関する指導・情報提供を受けました。現在、当社が施工中の開削工事現場で本システムの試験運用を進めており、今後、埋設物が存在する全国の地下掘削現場に展開していく予定です。

以上

≪参 考≫

地下埋設物の可視化イメージ

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