最盛期を迎えたジャカルタMRT建設工事

~連日、1千人を超える作業員を投入~

  • 海外
  • 土木

2015.12.10

清水建設(株)<社長 宮本洋一>、(株)大林組、地元のWIKA社、JAYA社の4社による共同企業体(清水建設JV)は、インドネシア・ジャカルタ市内で建設を進めている「ジャカルタMRT南北線 CP104‐CP105工区」において、連日、1千人を超える作業員を投入し、最盛期を迎えた工事に対応しています。現在の工事進捗率は50%を超えたところで、竣工は2018年12月の予定です。

ジャカルタMRT南北線は、日本政府の円借款により、ジャカルタ市内の慢性的な交通渋滞の解消を目的に計画されたものです。完成時には市内を南北に走る総延長23.8kmの鉄道が21駅を結びます。うち、市内中心部に位置する延長15.7km(地下部5.9km)、13駅(地下駅6駅)からなる一期工事の土建工事については6工区に分割されて発注されており、いずれも日本のゼネコンを幹事会社とする共同企業体が受注しています。

清水建設JVは2013年6月にCP104‐CP105工区を約194億円で受注。同工区は延長3.89kmの区間で、スナヤン、イストラ、ブンドゥンガンヒリル、ステアブディの4駅の地下駅舎、4駅を結ぶ内径6.05m、延長2.6kmの2本のシールドトンネルと460mの開削トンネルから構成され、2013年8月に着工しました。施工上の特徴かつ課題は、インドネシア初となるシールド機(2機)によるトンネル掘削を行うこと、上下12車線からなる繁華街の目抜き通り・スディルマン通り上に作業帯を設けて地下駅舎を地上から開削施工することです。

シールド機の1号機は、10月5日に工区南側の立坑から発進。数日以内にもスディルマン通り直下の325mの掘進を経てスナヤン駅に到達する予定です。その後、イストラ駅に向かって再発進するための準備工事に着手します。2号機は11月10日に同立坑からスナヤン駅に向かって発進。現地の技術者・作業員はシールド工事の経験がなかったことから、確実な技術移転による生産性の向上により、平均月進250mの達成を目指します。

一方、地下駅舎は地下1階のコンコース階と同2階のプラットフォーム階から構成されます。駅舎躯体の規模は長さ200~220m、幅17.6~23.6m、高さは11.1mで、掘削深は17.6~23.6mです。目抜き通り上に作業帯を設けるために、両脇の歩道、植栽した3本の分離帯、上下12車線からなる全幅約70mの道路の車線配置を約1年かけて大幅に変更(切り回し) しました。具体的には、3本の分離帯を廃止するとともに歩道幅を減じて、そのスペースをスディルマン通り中央部に集約、車線数を減じることなく車線を移設し、道路中央部に作業帯を確保しました。現在、いずれの駅舎も開削作業中で巨大な全容を現し始めており、プラットフォーム床のコンクリート打設が終了しつつある状況です。

なお、本工事では「地域貢献」を一つのキーワードにしています。地元の技術者・作業員へのシールド技術の移転はもとより、大型車両の現場への入退場時間を22時から翌朝5時に限定する交通渋滞対策、毎週木曜日に開催する市民や学生を対象にした現場見学会、スディルマン通りの青年の像を残したままでの同像直下の開削トンネル施工など、さまざまな取り組みを行っています。

東南アジアでは、インフラ整備をはじめ、引き続き旺盛な建設需要が期待されます。当社は、高度な建設技術が要求される大規模工事の受注に挑むとともに人材育成に勤しみ、2020年までに全社売上高の20%を海外事業で担うことのできる体制を構築する計画です。

以上

≪参 考≫

WIKA社の概要

  • 所在地Jl. D.I. Panjaitan Kav. 9, Jakarta 13340 – Indonesia
  • 社長Bintang Perbowo, SE, MM
  • 資本金Rp 3,989,590,256,000 (2014年) ※Rp ≒ 0.01Yen
  • 設立年1960年
  • 年商Rp 12,463,216,288,000 (2014年)
  • 業容インフラ、ビルの建設、不動産事業など

JAYA社の概要

  • 所在地Kantor Taman Bintaro Jaya Gedung B, Jalan Bintaro Raya, Jakarta 12330 – Indonesia
  • 社長Trisna Muliadi
  • 資本金Rp 1,763,392,541,289 (2014年)
  • 設立年1982年
  • 年商Rp 4,717,079,531,523 (2014年)
  • 業容インフラ、ビルの建設、プレキャストコンクリート部材の製造、機械・電気工事など

4駅舎の規模

スナヤン駅 イストラ駅 ブンドゥンガンヒリル駅 ステアブディ駅
駅延長 200m 220m 200m 200m
深さ 17.6m 18.7m 23.6m 21.2m
20.9~24.9m 21.9~25.9m 20.9~24.9m 21.4~25.4m
連壁
(厚1000mm)
9,934m3 11,345m3 11,871m3 14,381m3
掘削土量 68,262m3 87,663m3 84,805m3 81,390m3
コンクリート量 10,670m3 11,979m3 10,600m3 10,676m3
掘進中のシールドトンネル

ニュースリリースに記載している情報は、発表日現在のものです。ご覧になった時点で内容が変更になっている可能性がございますので、あらかじめご了承ください。ご不明な場合は、お問い合わせください。