工事現場の騒音シミュレーションシステムを開発

~バーチャルリアリティ技術で騒音体感~

  • 環境

2015.06.01

清水建設(株)<社長 宮本洋一>はこのほど、工事現場等から発生する騒音とその対策効果を近隣住民等に体感してもらうことを目的に、バーチャルリアリティ技術を活用した工事現場の騒音シミュレーションシステムを開発しました。このシステムの特長は、タブレットに入力した騒音源とその発生位置、騒音対策案にもとづいて、任意の地点で聞こえる騒音を瞬時に予測・数値化し、リアルな音として再現できることです。

工事現場では、騒音に関して近隣住民と協議する場面が多々あります。通常、施工者は工事騒音と対策効果を数値化して協議の席に着きますが、その場で実際の音を再現できないため、対策の効果が分かりにくいという問題がありました。一方、大掛かりな音響装置を使えば騒音等をリアルに再現できますが、住民説明会の場に音響装置を持ち込むことは現実的ではありません。

これらの課題を一気に解決したのが、騒音シミュレーションシステムです。このシステムは、タブレット上で稼働するので、いつでもどこでも手軽に騒音を再現できるとともに、騒音源や騒音対策等も容易に設定できるようになっています。

具体的なシステムの使用手順は、まずタブレット端末に地図を読み込ませ、地図の縮尺を認識させます。次に、騒音対策用の防音壁の高さや遮音性能、設置位置、騒音源の種類、騒音源が道路を走行する車両の場合は速度、騒音の受音点を入力します。騒音源は、現場に出入りする大型車両や現場の敷地内で稼働する重機等、工事現場で想定されるものを複数設定できます。システムへの条件入力はごく短時間で済むため、近隣住民等と騒音対策を協議しながらシミュレーションを繰り返すことができます。

また、騒音をリアルに再現するために、映画館等で用いられる立体音響再現技術を採用しています。例えば、道路を通過するダンプの騒音を再現すると、あたかもダンプが目の前を通り過ぎていくような感覚を覚えます。もちろん、騒音対策を施した場合、あるいは対策を変更した場合の騒音の変化もリアルに再現できます。

当社は、本システムを工事現場に展開することで地域に対する説明責任を果たすとともに、総合評価案件の技術提案において近隣住民とのコミュニケーションツールとして本システムの適用を織り込んでいく考えです。

以上

≪参 考≫

タブレットを使い騒音を再現する様子

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