マレーシアで東南アジア最長のトンネルが竣工

~パハン・セランゴール導水トンネル~

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2015.05.19

清水建設(株)、西松建設(株)、マレーシアのUEMB社、IJM社の共同企業体(清水建設JV)がマレーシアで施工を進めてきた東南アジア最長、世界でも11番目となるトンネル「パハン・セランゴール導水トンネル」が竣工、このほど竣工証明書を受領しました。

この工事は日本政府による円借款事業であり、マレーシアのパハン州とセランゴール州を結ぶ総延長44.6km、直径5.2mの導水トンネルを建設する、アジア最大級のインフラ整備プロジェクトです。供用開始後は、この導水トンネルから日量189万m3の生活・工業用水が、将来的に水不足が懸念されるクアラルンプール、およびセランゴール州にもたらされます。

清水建設JVはマレーシア政府から09年4月に本工事を受注し、09年6月に着工。総長15.9kmのアクセス道路や4工区2.5kmの作業抗をはじめとする準備工事を経て、10年7月8日にトンネル本体の掘削に着手。総長44.6kmのトンネルを8工区に分け、うち3工区34.6kmはTBM(トンネル掘削機)、4工区9.1kmはNATM(発破工法)、1工区0.9kmは開削工法により工事を進めました。

途中、幾度もの大量突発湧水(最大突発湧水量10t/分、最大坑内湧水量24.6t/分)や延長5kmにもおよぶ50℃を超える岩盤温度の区間(最大実測岩盤温度55℃)による作業環境の悪化、2機のTBMのメインベアリングの故障等に見舞われましたが、作業坑を含めると46.2㎞に達するトンネルが準備工事も含めて着工から4年9か月後の14年2月19日に貫通。その後、TBMの解体・撤去、TBM1・2工区の覆工(ライニング)、作業坑の閉塞工事を行い、本年3月3日に竣工しました。安全面では、スタッフと作業員が一体となって、延労働時間が1,102万時間に及ぶ中、重大災害発生件数0件(度数率0.73、強度率0.006)を達成しました。また、山岳トンネルとして非常に難易度の高いプロジェクトであったことから、竣工までに8,000人を超える見学者が世界中から訪れました。

TBMによる硬岩の長距離高速掘進、大量湧水、高温岩盤、山はね(土被り1.2km下の高圧)環境へのTBM適用、NATMによる小断面トンネルの高速掘削や土被りわずか12mの河川直下の横断掘削等、このプロジェクトで得られたさまざまな知見は国内外のインフラ整備で活かせるものと考えています。

以上

≪参 考≫

1. プロジェクト概要
  • 工事名称パハン・セランゴール導水トンネル
  • 発注者マレーシア政府 エネルギー・環境技術・水資源省
  • 計画地マレーシア・セランゴール州~パハン州
  • 工期(契約時)
    2009年6月1日~2014年5月31日(1,825日)
    (竣工時)
    2009年6月1日~2015年3月 3日(1,902日)
  • 設計・施工監理東電設計・SMEC(豪州)・SMHB(マレーシア)
  • 施工者清水建設・西松建設・UEMB・IJM共同企業体
2. UEMB社(UEM Builders Berhad)
  • 所在地マレーシア、クアラルンプール
  • 資本金非上場につき非公開
  • 社長Mr. Mohd Razin Bin Ghazali
  • 業務内容総合建設業、インフラ維持業務他
  • 売上高非上場につき非公開
3. IJM Consliuction社(IJM Corporation Berhad)
  • 所在地マレーシア、セランゴール州
  • 資本金1,415,620百万リンギット(約424億円 グループ全体)
  • 社長Dato' Soam Heng Choon
  • 業務内容総合建設業、不動産業他
  • 売上高1,250百万リンギット(約375億円グループ全体)

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