ローコストの簡易地盤改良で、小規模構造物の液状化被害を防止

~地盤表層の改良だけで、絶大な対策効果を発揮~

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2012.02.21

清水建設(株)<社長 宮本洋一>はこのほど、地盤表層のごく一部を簡易改良するだけで、液状化による地盤の変形を抑制し、生産施設の外部配管架台などの小規模構造物の液状化被害を防止できる画期的な対策工法を開発しました。対策効果については、解析や実証実験により検証・確認しています。新工法の主な適用対象は、建物本体の周囲に設置する小型タンク、配管架台、小型倉庫などで、重量が概ね5t/m2以下のものとなります。駐車場や構内道路などは規模に関係なく適用できます。

この工法の特長は、新築の場合は基礎直下に薄い礫層を、改修の場合は基礎周囲に所定の深さの壁状の改良地盤を設けるだけで、液状化する地盤の深さ、つまり液状化層の厚さにかかわらず絶大な対策効果を発揮することです。このため、対策費が小額で済み、例えば液状化層の層厚が10m程度の場合、新築では従来の対策工法の1/3~1/5程度、改修では1/10程度で済み、層厚が厚くなるほどコストメリットが大きくなります。

東日本大震災では、生産施設や病院、集合住宅などで建物本体が被害を受けなくても、液状化により小型倉庫や配管架台に大きな傾斜が生じたり、通路や駐車場にひび割れや多量の噴砂、不同沈下が生じたことなどにより、建物を継続使用できなくなった事例が報告されています。これは、従来の対策工法が高額で、初期投資を抑制するために、付属する小規模構造物への適用が見送られてきたことが主な原因です。一方、液状化被害を受けた構造物の復旧には長期間を要することから、復旧費用や生産施設の操業停止による未収期間により、抑制した初期投資の何倍にもなる経済的な損失が発生することが考えられます。このため、今回の震災を経て、ローコストの液状化対策工法の開発が喫緊な研究開発課題になりました。

地盤の液状化とは、地下水位が高く、緩い砂地盤で発生する現象です。地震の揺れによって砂粒子がより密に詰まろうとすると粒子間に存在する水の圧力が高まります。地震により水圧の上昇が続くと、ついには水圧により砂粒子間の接触力がゼロとなり、地盤は液体状になります。地盤によっては砂混じりの水が地表に吹き出す噴砂という現象が生じます。

そこで新工法では、簡易な対策で基礎近傍地盤の地下水圧の上昇を抑止することで小規模構造物の周辺地盤に限定して液状化による地盤変形を抑制し、液状化被害を防止します。対策の仕様は、当社が独自に開発した評価技術を用いて構造物や地盤条件に応じて設計します。新築の場合は、小規模構造物の基礎下に基礎の短辺長の1/8以上の厚さ(最低30cm以上)で、基礎幅プラス1m程度の幅の礫層を設けます。地震時には礫層からの排水機能により、構造物周辺の水圧上昇が抑制されるので、礫層の周囲に液状化に至らない地盤が形成され、液状化被害を防止します。

一方、既設構造物の場合、基礎周囲に壁状のセメント系改良地盤を設けるとともに、構造物と改良地盤の周囲の地盤表層に礫層を設けます。壁厚は0.6~1m程度、深さは基礎短辺長と同等程度以上、礫層は厚さ幅とも30cm程度になります。大地震が発生しても改良地盤で拘束された地盤は変形が小さいため地下水圧の上昇が抑制され、かつ礫層が壁の効果が小さい地表面付近の地盤の液状化を防ぐことから、基礎の変形を抑えることが可能です。

駐車場や構内道路については、舗装の下に礫層を設けるとともに、一定間隔で地表などへの排水機能を果たす溝状の礫層を設けることで、液状化による噴砂を抑制し、不同沈下を防止できます。

新工法の液状化防止効果が及ぶ深度は限定されるので、地盤の深部が液状化することにより小規模構造物には沈下が生じるものの、周辺地盤の沈下と同程度で済みます。このため、双方の段差は小さく抑えられ、また新工法の効果により傾斜(不同沈下)も抑制されるので、液状化被害を防止できます。

なお、新工法の開発および設計は、地盤が液状化するプロセスを解明し、当社独自の液状化後の地盤変形を予測できる理論と解析手法を確立したことにより可能になったものです。これにより、液状化を完全に防止しなくても済む対策工法の立案が可能になりました。

以上

≪参 考≫

新設構造物用
既存・新設構造物用
外構用

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