都市生態系ネットワーク評価システム「UE-Net」の基盤データベースを拡充

~都心7区なら、緑化計画を入力するだけで生態系に対する影響を評価~

  • サステナビリティ

2011.06.14

清水建設(株)<社長 宮本洋一>はこのほど、昨年開発した都市生態系ネットワーク評価システム「UE-Net」の基盤データベースを拡充しました。これにより、都心7区、約200km2の地域については、開発案件の緑化計画を入力するだけで周辺の生態系ネットワークへの影響を「見える化」できるようになりました。実用化第一弾として、東京都が行う生態系ネットワークの評価において、臨海副都心地域を含む、約25km2の領域にわたり環境指標生物の生息適性を見える化しました。

本データベースの適用域である臨海地域から副都心地域の都心7区(新宿区、渋谷区、港区、千代田区、中央区、品川区、江東区)は、東京都の「10年後の東京」計画で風の道となっている「海の森~皇居」を軸とするエリアです。このエリアでは、多くの都市開発が計画されていることから、当社は「UE-Net」のデータベースの拡充に取り組みました。具体的には、当該地域全般について、草地や樹林などの緑地の多様性、周辺の緑の連続性、林縁環境や水辺の長さといった空間データと、生物多様性の保全・創出のベンチマークとなる現状の生態系ネットワークの評価データを作成し、双方を一体化、新たなデータベースとして整備しました。こうしたデータベースを備えた生態系ネットワーク評価システムは今まで他にありませんでした。

空間データは、高解像度の人工衛星画像データをベースに作成しました。植物の葉緑体を構成するクロロフィルは、可視光線の外にある近赤外域の電磁波を強く反射する特性があります。この特性を利用し、電磁波の反射強度を解析することにより、画像データから緑地を抽出の上、例えば落葉樹、常緑樹、高茎草地、低茎草地などの植生タイプ別に分類し、データベース化しました。また、植生タイプは50cm四方を一単位として詳細に表示することができるので、生態系ネットワーク評価精度が一層向上しました。

生態系ネットワークの評価データは、指標生物として、鳥類よりモズ、シジュウカラ、コサギ、チョウ類よりムラサキシジミ、ヒメアカタテハの計5種類を選定し、各々の棲み易さや生息に適した緑のネットワーク状況(生息適地ネットワーク)について、空間データを利用して分析し、さらに地図化したものです。

データベースの拡充により、生態系ネットワークの評価に必要な入力データは、開発案件の緑化計画の内容のみとなりました。これに伴い、評価に要する期間は1計画あたり2~3日程度で済みます。これは従来の1/2~1/3であり、短期間で様々な緑化計画の検討が必要な開発事業の構想段階においても、このシステムを適用できるようになりました。さらには、広範囲にわたる生態系ネットワークを表示できることから、開発前の代償的な保全措置(オフセット)の検討にも活用できます。

当社は、データベースを拡充した「UE-Net」を、東京臨海地域~副都心地域における都市開発計画の評価・提案に適用し、生態系ネットワークの形成に寄与していく考えです。

以上

  1. 「10年後の東京」計画
    東京をより高い次元で成長させ次代へと継承するため、東京都が平成18年12月に策定した計画です。都は、海の森の整備、街路樹の倍増、校庭の芝生化、屋上や壁面の緑化など、新たなみどりの創出に向けた様々な取り組みを行うことで、東京という大都市を水と緑でつなぎ、新たな成熟を遂げた世界に誇れる美しい都市、住みごこちのよい街へと生まれかわらせていこうとしています。
コサギ(水鳥)の生息適性ネットワーク評価図

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