鉄骨造建物の梁部材を合理化する新工法「エコウェブ工法」
「エコウェブ工法」は、鉄骨造建物の鉄骨梁のウェブ(側面部分)に板状のスチフナと呼ばれる鋼製の補剛材を溶接して部分補剛することで、ウェブを薄肉化して鉄骨量の縮減を図る補剛工法です。

背景
鉄骨造の建物に使用する鉄骨梁は、スケールメリットなどの観点から、鉄鋼メーカーの既製品が多くを占めています。その大半は端部から中央部まで全断面が同形状であるため、中央部などでは求められる耐力以上の性能を有していることが多く、特に超高層ビルなどの大規模建築物では、鉄骨量の縮減方法の一つとして、鉄骨中央部の部材の合理化が求められていました。
概要
エコウェブ工法では、鉄骨梁のウェブ部分の両端部に板状のスチフナ溶接し、地震時に応力が集中する梁端部のみを部分的に補剛することで梁全体の要求耐力と変形性能を確保します。
従来は、梁ウェブ全体を厚くすることで それらを確保していましたが、スチフナを対象建物の梁断面形状や梁の長さに応じて、梁両端部の梁材軸方向に並行して数ヶ所に溶接することで、鉄骨梁の合理化を図ることが可能になります。
メリット
本工法を適用することで、従来工法と比べ、鉄骨梁の鉄骨量を梁単体で最大30%縮減できるため、コストダウンが図れます。
また、本工法は第三者認定の建築技術性能証明を取得していることから、一般的な確認申請で審査されるすべての建物に適用が可能です。
「シミズSTreamLine」
本工法の他に、既開発の構造部材合理化工法4工法を含めた全5工法を総称し、「シミズSTreamLine」としてシリーズ化しました。
鉄骨梁の梁端接合部のフランジ両側に台形状の鋼製プレートを溶接し、梁端部の耐力と変形性能を向上させて鉄骨量を縮減する「サイドプレート工法」、対象梁上部の床スラブを鉄骨梁の座屈耐力計算に算入して補剛材を不要にする鉄骨梁横座屈補剛工法「HOGO(補剛)レス工法」、梁側面の配管用貫通孔に鋼製リングをはめ込んで鉄骨量の縮減を図る「EGリング工法」、建物設計時の構造計算による必要性能の確認により梁貫通孔の鋼製リングを省略させる梁貫通孔無補強工法「リングレス工法」をあわせたこれら全5種の工法により、鉄骨造建物の梁部材の最適化を図ります。シミズSTreamLineは、これら5工法すべてを同現場に適用することで相乗効果を発揮しますが、現場のニーズなどにあわせてそれぞれの工法を単体で適用することも可能です。
